マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

考えることをあきらめない

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第78号] 考えることをあきらめない 

2020年7月1日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の78】

『顧客から求められるものとは?』

コロナ禍により様々な常識が変わろうとしている。
常識の変化により、顧客の需要も変わりゆく。
世の流れが変わろうとも、商売はいつだって基本に立ち返るべきだ。
「金を払う顧客が求めるものは何か?」
先々顧客が求めるものに目を向け、引き続き商品・業態開発の幅を広げて頂きたい。

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緊急事態宣言が解除されて1ヶ月が経過しようとしています。
この間にも月次監査で社長の皆様と経営のお話をさせて頂いております。
お話の内容は、資金繰りにかかる融資のご相談、喫緊の組織体制のご相談、数年後の経営に対する漠然とした不安、将来の目標(夢)など本当に多岐にわたります。

ほんの1、2か月前であれば、とにかく会社が生き残るためにいかに融資を受けるかという話がほとんどでしたが、制度融資等により当面の資金は確保された顧問先様も増えてきました。一方でまだまだ融資で苦労されている顧問先様もいらっしゃいます。

目先の資金繰りに目途がつくと、いよいよ経済が少しずつ動き出した今、どうやってコロナ前の経営状態に戻していくかが課題の中心となります。

マイナス成長 -全体として稼ぎづらさが続く-

業種によってコロナによる売上減少率はまちまちではありますが、スーパーなど一部を除けば、大きく売上を落としている会社がほとんどで、限りなくゼロに近いところまで売上減少している会社も少なくありません。

日本経済新聞に今回のコロナウイルスによる全世界の損失は2年間で1300兆円というIMF(国際通貨基金)の試算が各国の経済成長率とともに掲載されていました。

<世界および各国の経済成長率>
世界全体 2020年 4.9%減  2021年 5.4%減
 日本    2020年 5.8%減  2021年 2.4%減 
  アメリカ  2020年 8.0%減  2021年 4.5%減
  中国   2020年 1.0%増  2021年 8.2%増

世界全体で見ると2021年も思うように経済が回復しないことを表しています。日本も2020年、2021年ともにマイナス成長となっております。
具体的にいえば、2019年から見た2021年の日本の経済成長率は1×(100%-5.8%)×(100%-2.4%)=91.9%となります。つまり2年後には現状より8.1%減少することになります。

これを一般の会社の売上で考えれば、売上が前期比8.1%減少するというのと同じことです。売上が8.1%減少していくというのは、経営的にはかなり厳しい状況です。そしてもう一つ言えるのは、これから数年はコロナ前の売上水準までには戻りづらい状況にあるということです。

もちろん、個々の会社で見ればコロナ前の水準にすぐに戻る会社もあるでしょう。ただ、全体として見れば回復には時間がかかると考えるべきでしょう。

変わる常識に合わせた商品開発を

今まで通りの商売で売上をコロナ前の水準に戻せないならば、考えられる方策のひとつはコスト削減、つまりダウンサイジングです。これは私が言うまでもなく、どこの会社でもやられていることと思います。とはいえ、売上の減少による粗利の減少を補うほど、コストカットするのは一般的には至難の業です。ですが手をつけなければ赤字が増加するのも見えている。非常に厳しい状況に置かれている会社が多くございます。

ダウンサイジングにより利益が出せるようになればまずは良いのですが、それにしても売上自体が急激に落ちると資金繰りに悪影響を及ぼしかねません。これらを全てを注意深く見ながらの経営となるので本当に難しい局面が続きます。

また、この局面で強引に売上を増やそうとすると必ずといっていいほど、コスト面に悪影響が出て来ます。つまり売上が増え忙しくなるもののそれを上回るコストが発生、社員も疲弊し、結果として利益が出ないという悪循環に陥りかねません。

コロナ禍による生活スタイルの変容により、今までの事業スタイルのままではなかなか売上の回復が進まない業種も一定の割合で発生するでしょう。そうなった場合に今まで通りの事業のやり方で売上を増やそうとすると結果として儲けに結びつかず、むしろ儲けを下げる方向に行きかねないということです。

「本業にこだわる馬鹿、本業を離れる馬鹿」という話をだいぶ前にさせて頂きましたが、今の状況はまさにこの言葉に体現されると思います。本業から大きく逸れた分野に目を移すのではなく、本業の隣の事業の開発です。「隣」というのが重要です。とはいえ、知った風に「隣」などといっておりますが、皆様の事業の「隣」が何かはわかりません。皆様がそれぞれ考えるしかありません。

この「隣」にあたる業態開発、商品開発こそがこれから社長の皆様に求められることであり、これを考え続けることこそが社長の仕事ではないでしょうか。これは今に始まったことでなく、本当は社長が商売を始めた時からの永遠のテーマでありますが、これを考え続けることこそが会社を再浮上させるために一番重要だと切に感じております。

是非ともこの厳しい状況を打破すべく、マエサワ税理士法人職員一同団結してご協力させて頂きますので、どうぞ宜しくお願い致します。