マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

チャレンジすること

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第96号] チャレンジすること

2021年3月10日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の96】

『社会に求められる企業への挑戦』

真面目で保守的、日本の、特に令和の時代の経営者に多い特徴かもしれない。
昭和とは時代が違う、中国とは風土が違う。尤もではあるが、学ぶべきところは大いにあるだろう。
コロナショックから1年経ったが元通りとはいかない企業がほとんどだ。
いち早くの回復、そしてコロナ前を追い越すためにも、今まで通りの殻を破ったチャレンジを続けて頂きたい。

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3月8日で終わる予定だった緊急事態宣言も1都3県で3月21日まで延長になりました。ワクチンも少しずつ海外から入ってきており、医療関係者を中心にワクチン接種が始まりました。賛否はともかく東京オリンピックも開催前提で動いているようです。

こういった中で世界各国のコロナ禍における動きについてある雑誌にこう書かれておりました。

「中国についてはコロナ危機前までは6%程度の高い成長率を実現しておりました。中国を起点にコロナ危機が始まり、昨年第1四半期は厳しいロックダウンをしたことで、他国より先に経済は落ち込みました。しかしその後主要国の中では唯一V字回復を果たし、現在はコロナ危機前の状態を超えています。」

「次に日本は、安倍前政権時代の経済成長率が平均1%程度でしたので、日本の成長力は相対的に低かったところに昨年1月-3月からコロナの影響でマイナス成長が続き、4月から6月にかけて大きく下落し、7月-9月にリバウンドしましたが落ち込みを補えず、米中に比べて回復力後れを取っています。」

「アメリカは2%ほどの経済成長を実現してきました。コロナ危機で4月-6月に大きく景気後退しましたが、すぐにリバウンドしています。」

「欧州は大きくコロナ危機からリバウンドしましたが、昨年秋頃から感染が再拡大しロックダウンも各地で実施したためマイナス成長に戻っています。」

経済回復を早くに遂げた国から学べること

中国はあまり財政出動も金融緩和もしなかったそうです。対して日米欧は財政拡大も金融緩和も相当踏み込みましたが中国ほどの景気回復にはつながらなかったようです。
ではなぜ中国がいち早く景気回復できたのか。中国がいち早く景気回復できたのは圧倒的な数のPCR検査をすぐに実施したことが日米欧との相違点だそうです。また、中国はデジタル化が進んでおり、アリペイやWeChatペイというデジタル決済手段を行うユーザー数が各10億人ずついて、多くの商店がQRコードを使う形で普及していたことも影響のひとつだそうです。
2つ目はアプリを使ったコロナ感染の追跡が有効だったこと。3つ目は中国が巨大な国内市場を持っており、海外需要に依存しなくなっているということが挙げられるそうです。

感染拡大で非製造業の活動が停滞しているのは日米欧ともにみられていますが、製造業については輸出や生産が堅調に回復してきており、製造業と非製造業との間にばらつきが見られます。一因としては中国がインフラ投資、不動産開発投資を進めており自動車需要も高いため輸入を増やしていることもあり、日米欧とも輸出が伸びているそうです。

チャレンジする風土を築く

日本は言うまでもなく「持たざる国」です。レアアースなどの潜在的埋蔵量については期待されるところではありますが、現状では経済活動で大量に消費されるような資源についてはほとんど輸入に頼っているのが現状です。しかも日本の国土の約67%は森林であり、平地が多くはありません。そういった環境でも日本が昭和の時には一人当たりの生産性で世界一になれたのは、欧米に追いつき追い越せという信念の基に長時間労働を厭わず働いた結果であると思います。工場に働きにいき、工業製品をたくさん作り出して、世界中に輸出する。トヨタだけでなくSONYやNEC、東芝など当時世界に名だたる企業として活躍していました。

ところが世界に追いつくと今度はトップを守らなければならない立場になりました。これまでは欧米の作った商品を見て品質はそのままに安く作ればよかったものが、今度は自ら世の中にない商品を創ろうと考えます。そういったことをこれまでやってこなかった日本人は困難を極めました。

日本人は真面目だと言われます。一面ではそうだと思います。工場でさぼろうと思ってさぼっている日本人は世界と比較しても少ないと思います。言われたことはその通りにやるし、よりよい商品を創ろうとすることには非常に長けている。QCサークル※などはそのひとつです。しかし自分がやっている仕事に疑問を感じたり、世の中にないもの、あると便利なものを作り出そうというような独創的なアイディアとなると私もそうですが世界と比較して圧倒的に足りないように感じます。
※QCサークル:同じ職場内で品質管理活動を自発的に小グループで行う活動
仕事が画一的だと働く側は実に楽です。ですからこれを変えようとすると反発も非常に強い。しかしながらこんなことをやっていたらただでさえ日本の生産性の低さは先進諸国中でもビリなのに、上がるはずがないように感じます。

中国では倒産件数も非常に増えているそうですが、一方で起業も盛んで一度の事業経営の失敗が致命傷にはなりません。しかし日本では事業経営に一度でも失敗するとダメ経営者の烙印を押されてしまいます。これは国民性もあるので一概にどちらがいいかどうかわかりませんが、今の日本を見ているとチャレンジが足りないように感じます。

コロナ禍は文字通り「わざわい」です。しかし経営から見ると「チャレンジをする」にはもってこいの時かもしれません。顧問先様でもこのタイミングで飲食店を出店されたり、今まで抵抗があってできなかった社内の人事異動を進めたり、サプライチェーンを変えることでコストダウンを図ったりと積極的な「攻め」の動きが多く見られます。

全部が全部うまくいくとは限りませんが、業績を上げていくには今まで通りで良いわけはなく、社長の皆様にチャレンジする前向きな心が必要なのかもしれません。私もマエサワ税理士法人もチャレンジする風土をいつでも持っていなければと感じております。我々ほど保守的な業界はないですからなおのことです。顧問先の皆様とチャレンジしてこれからも成長してまいりたいと思います。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。