マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

生き残る

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第97号] 生き残る

2021年3月24日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の97】

『淘汰の時代に向けて』

振り返り、たらればを嘆く気持ちはよく分かる。だが考えても仕方のないことに時間を割いている場合ではない。
間もなく淘汰の時代がやってくる。今考えなければならないことはコロナ後にどう儲けるか?の一点だろう。

窮境の先に窮境が待っているという救いがないような話だが、我々はその中でも生き抜かねばならない。
金を払う相手がどこに目を向けるのか?儲けられる商品・サービスの開発に勤しもう。

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1都3県に出されていた緊急事態宣言が3月21日に解除されました。コロナに対する考え方は千差万別なので今回の解除が良いのか悪いのかについては様々な意見があるでしょう。解除の是非については、時間が経って振り返ったときに明らかになるように思いますが、ひょっとすると将来から今を顧みてもこの判断が正しかったかそうでないかはわからないかもしれません。
今回のコロナが、経営者の事業や、経営者自身の人生に多大な影響を及ぼしたことは明らかです。経営者はこれまでに想像もしなかった判断に直面せざるを得ない状況に陥りました。

経営者が考えることは無限にあります。しかしその中には「いま自分が考えても仕方がないこと」と、「いま自分で考えなくてはならないこと」があるように思います。コロナ禍の影響を受けて儲けがなくなったことを嘆いていても始まりません。かといってコロナ禍は自分のせいではないから儲けが出ずに赤字になっても仕方がない、というのもこれまた違うように感じます。

コロナのせいで赤字になったとしてもその責めは経営者が負わざるを得ません。2011年の東日本大震災でも大きなダメージを受けた顧問先様がございました。それでも事業を再構築し、儲けの出る体質を作り直し、現在も事業を継続させています。

社長の捉え方、考え方で見え方が変わること

コロナ下でのこの1年、数多くの顧問先様の社長とお話させて頂きました。ほとんどの社長はまさに自分事として経営再建に向けて必死に荒波に抗っています。社員も一致団結でこの荒波を乗り越えようとする会社。皆がバラバラになりかけている会社。こういう危機に瀕した時には人間性というものが出てしまうものだと感じずにはいられません。

ある顧問先様では業績が急落したため、賞与を見送ることになりました。社長としてはずっと賞与を出されていたのでもちろん苦渋の決断ではありました。ただ業績の落ち込み具合、資金繰りなどを鑑みれば、経営上当然の判断であるように思われました。

ところが、社内では「どうして今まで通りに仕事をしてきたのに、賞与がもらえないのか。こんなことでは仕事などやっていられない、ボイコットをしよう。」ということを言い出す社員がいたそうです。その話を聞いた社長のお気持ちを考えると胸がいっぱいになりました。もちろん他の社員は「今回の業績落ち込みはひどいから賞与の見送りも仕方のないことだ。」と言っていたそうで、この会社の社長は「どの社員が信じられるか、それがわかったという意味でコロナはいい機会だった。」と仰っていました。

また別の顧問先様では今まではなかなか優秀な人に入ってもらえなかったが、コロナ禍で世の中が人余りになりこれまでとは違う人が入社されたそうです。その社員たちが一生懸命働いたおかげで、今までいた社員がいかにサボっていたかが明らかになり、一瞬は会社の雰囲気は悪くはなりましたが、一貫して社長が仕事をした社員を高く評価をし、給料に反映させ、そうでない社員はそれなりにということでだんだん会社の雰囲気がよくなってきました。今では成果を出せば給料が上がる、ということで社員に積極性が出てきているそうです。

企業200万社淘汰の時代

話は変わりますが、今年夏に予定されている東京オリンピックは海外観客なしで行われる方向で進み始めたようです。なんとしてでもオリンピックを開催しなければならないのだな、と強く感じます。日本人は熱しやすい気質ですから、オリンピックが近づきワクチン接種率も高まれば、盛り上がってくるかもしれません。

コロナ禍ではコロナ6業種が大きなダメージを負いましたが、コロナ禍での経済の落ち込みの影響は東京オリンピック後に本格化しそうです。私が言わずともほとんどの社長がそう思われているのではないでしょうか。これから来るであろう不況はいまだかつてない冷え込みになるはずです。そもそもコロナ禍で融資を可能な限り受けたとしても、今後売上を伸ばすには困難を伴うはずです。粗利益率もよほどでなければ維持することすら難しいでしょう。

そんな中で儲けを出していかなければならないことを考えると私自身ぞっとしてきます。
税理士業界の新聞に「200万社淘汰の時代」という衝撃的な表題がつけられていました。現在、法人個人合わせて約400万企業が存在しているといわれておりますが、その約半分が淘汰されるということだそうです。

2社に1社が淘汰されるということが現実となれば、アフターコロナは企業にとって前代未聞の生存競争になるでしょう。今までやっていたことがコロナ禍でダメになったとすればアフターコロナにおいてもやはりコロナ前の状況に戻る可能性は低いと言わざるを得ません。

なんとしてもアフターコロナで受け入れられる商品、サービスを開発するしかありません。人、モノ、カネ、情報とどれも潤沢に揃っている中小企業などほとんどありません。ただ大企業と違って、社長を中心として圧倒的な機動力があります。

今こそあらん限りの知恵の創出と機動力で商品、サービスの再構築が必要です。どっちの2分の1に入るかで会社も社長も社員も人生が全く変わってしまいます。なんとしてでも生き残る側の2分の1に顧問先様とマエサワ税理士法人が入らなければというのが私の率直な思いです。