マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

事業再構築補助金~その2~

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第100号] 事業再構築補助金~その2~

2021年5月5日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の100】

『愚直に続けていくことで何か見えてくるかもしれない』

苦労されながら会社経営している経営者の皆様の声をメールマガジンを通して共有していくことで、自身とは違う業種業態の経営者も同じように稼ぐための創意工夫をされているということを知って頂くためのツールになればと始めたメールマガジンです。

これからも宜しくお願い致します。

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メールマガジン100号を迎えて

このメールマガジンも100号を迎えることができました。これもひとえにこのメールマガジンを読んでくださっている皆様のおかげでございます。ありがとうございます。
まがりなりにもこうしてメールマガジンを続けられたのは、皆様からの生の反応を感じられるからです。「この間のメールマガジンはうちのことを書いたでしょう?」なんてことをおっしゃって頂くこともたびたびです。
このメールマガジンを書くときに私が注意をしてきたことはふたつです。ひとつは「会社は儲けなくてはならない」というという経営の大前提からずれたことは書かない。もうひとつは顧問先様のことを書くときに悪意を持って書かない、ということです。
顧問先様に対して悪意を持って書かない、なんて当り前じゃないかと思われるかもしれません。もちろん文字面にするとその通りなのですが、事例の紹介は当事者にとっては繊細な内容となることも少なくありません。記事に挙げさせていただいた顧問先様からすると不本意な内容になってしまうことも実際ありました。この場をお借りしてお詫び申し上げます。しかし私は、顧問先様に対する悪意を持って執筆したことはありません。その点をご理解いただける関係を築かせていただけていることは私の誇りです。
それでもやはり不特定多数の方に読んで頂く文章には特有の難しさがあります。表現に対する捉え方は千差万別です。文章を書いては読み直し、どのような受け止められ方がされるかを想像する必要がございます。これからも表現には気を付けつつ、皆様に様々な社長の考え方や実際に現場で起きていることを書いていく所存ですので、どうぞ宜しくお願い致します。

事業再構築補助金一次公募へ申請してみて感じたこと

前号で書かせて頂いた事業再構築補助金について私も1件申請をしたところなので、その件について書かせて頂こうと思います。
事業再構築補助金の一次公募が5月7日まで延長されたようですが、ひとまず一次公募はこれにて終了となり、二次公募は5月10日頃から始まり7月上旬まで申請受付とのことです。
一次公募は3月31日に開始されましたが、申請内容の具体的な説明について公表されたのが4月に入ってからでしたし、実際の申請受付も4月15日からだったということで、補助金事務局の対応もかなりバタバタしているようでした。
申請させて頂いた1件も実はマエサワ税理士法人の顧問先様ではなく、金融機関を通して来られたお客様でした。情報がゼロのスタートでしたのでまさに突貫工事の1か月でした。平日は通常業務で予定が埋まっているので毎週末で対応しました。
今回の補助金申請を受けた際に感じたのは月次巡回監査の重要性です。今回補助金申請した会社はもともとマエサワ税理士法人の顧問先ではないので、一から試算表等を確認していかなければなりませんでしたが、その会社は自社で経理をやっておらず税理士に記帳代行から任せておりました。
しかも月次できちっと数字を締めているわけではないので、4月現在でも締まっている数字は昨年の12月までという状況でした。やはり平常時、非常時に関係なく、社長の頭にある数字と経理の数字が一致しているかどうかの確認を月次監査時に一緒にして頂かなくてはと感じました。
話は戻りまして、補助金申請したこの会社は旅行業を営んでおります。扱っている商品は主に個人向けの旅行で、お客様ごとにカスタマイズされた旅行商品を扱っております。例えばお客様からサッカーイタリアリーグ・セリエAの試合が見たいと言われれば、そのチケット入手から始まり、ホテル予約・エアチケット入手をすべて自社で行っております。旅行に目的を持った人がこの会社のターゲット層になります。
つまり値段が安い、高いで行き先を決めるのではなく、ここへ行きたい、これをしたい、これを見たいというお客様の要望を叶えることになるので、経営的には粗利益率の高い商品になります。もちろん粗利益率が高いだけあって、自社ないし世界中に存在する協力会社、協力者があって初めて成り立つ事業です。
ところがこのコロナ禍で海外旅行自体がほぼストップしてしまいました。この会社の売上もコロナ前の売上の2%ほどになっております。コロナがある程度収まり、海外旅行が支障なくできるようになるまでは最低でも1年はかかるようです。
そんな状況でも会社を存続させるべく社長は実にいろいろと考えられています。先月4月28日にこの会社の事業再構築補助金の申請を終えましたが、3月29日に社長に初めてお会いしてからこれまで5回ほどお会いしてこれまでの会社事業について、そしてこの事業再構築でやりたいことを繰り返し伺いました。
旅行業の行く末を憂いて辞めていく社員がいること、飲食店には厚めの手当てがでているが観光業にはそれほどの手当てが考えられていないことへの苛立ち、最も大きいのはこのコロナ禍がいつ収束するのかわからないこと、結果として自社が生き残っていけるのかどうか、などについてたくさんのお話を伺いました。
このままでは会社が生き残れず、結果として社員にもつらい思いをさせてしまう。社長自身が何とかしなければ会社はなんともならない、という思いが私にも強く感じられました。
事業計画書の新たな事業の概要、ターゲット層、与える付加価値についての説明は社長が作成し、我々は過去データと社長からのヒアリング結果から新事業の財務数値をはじき出し、社長の作成した事業計画書との整合性を図るために新たなミーティングを行いました。
実際に行っていない事業について将来計画を立てるのはなかなかに難しいものですが、社長の思いを形にすること、その思いと数字をきちんとリンクさせることが「事業計画」のすべてだと思います。

事業再構築補助金の利用を考えてみても…

前号でも書かせて頂いた通り原則的には国が事業再構築のための資金を2/3まで援助して頂けるので、補助金ありきの事業再構築はどうかとも思いますが、この補助金が引き金となって事業再構築を考えたとしてもそれはそれで結果が出ればよいかとも思います。
事業計画は、補助金申請の有無にかかわらず、会社経営にとって重要な意味を持ちます。要は「いかに粗利益のとれる新商品を考え創り出せるか」です。これはいつの時代でも普遍です。アフターコロナの新商品、新事業を考えるにはよい機会です。それを予算という目に見えるかたちに、検証可能なかたちにまとめておくことは大切なことです。計数的な面においてはマエサワ税理士法人がお役に立てる局面も多くあろうかと思います。事業計画をまとめる際には是非お声がけください。