マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

世界と日本の仕事に対する意識のずれ

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第111号] 世界と日本の仕事に対する意識のずれ

2021年10月6日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の111】

『儲けを始めに持ってくる考え方 』

なぜ給与が低いのか?
突き詰めれば会社が満足に儲かっていないからである。
社長・社員の思考が資本主義からズレたものばかりではそれも必然であろう。

資本主義では、自分が儲かることと会社が儲かることは両輪である。
時間をかけて儲けに対する社員の感覚を磨いて頂きたい。

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コロナ禍のなかで多くの経営者がいかに儲けるか、頭を抱えています。儲けが出ているときというのは、組織内部に多少の問題やひずみがあったとしてもそれらが顕在化することは多くありません。

しかしながら業績が右肩下がりになったり赤字に陥ったりすると、問題やひずみが表面化してきます。

問題が表面化してしまうこともまた問題である

本業を立て直すことができれば、こういった問題も解決の方向に向かっていくのですが、コロナ禍では本業を立て直すのも簡単ではありません。

社長は「本業立て直しが最重要事項」とわかっていながらもそれ以外の、組織内部の問題やひずみに大事な時間を費やさなければならなくなってきます。

会社が儲けてさえいれば組織がどうなっていてもよい、ということではありません。会社が儲けた上でしっかりした給料を社員に支給できることこそ会社経営において重視されるべきことです。仮にそれができていなかったり、できなくなることが予見されるならば、まずはその状態から脱することがが先決ではないでしょうか。

少し前になりますが、アジア各国を中心とする労働者を対象としたアンケートがありました。「仕事をする上で大切だと思うものはなんでしょうか?」という質問です。

中国、韓国、インド、タイ、マレーシア、インドネシア、ベトナム、アメリカ、日本の労働者が回答していました。

日本以外のすべての国で労働者が最も重視すると答えたのは「高い賃金・充実した福利厚生」でした。特に中国は興味深く、二番目には「明確なキャリアパス」が挙げられており、「正当な評価」というものにはほとんど興味がない、ということでした。

一方、日本の労働者が一番に重視したのは「良好な職場の人間関係」でした。二番目は「自分の希望する仕事内容」です。

資本主義再考の視点

それぞれの人が仕事をどのように考えているかということはそれこそ自由です。一方で仕事をし、給料を得ることで自分や家族を養っていかなければならないのも事実です。いくら「良好な職場の人間関係」が整っており、「自分の希望する仕事内容」だったとしてもそれで得られる収入ではぎりぎりの生活です、ということで我慢ができるのでしょうか。

これも人それぞれの考え方ですので、別に構わないという人も当然いらっしゃいます。しかし全体割合でいえばそのような考え方をされる人はそう多くはないように感じます。

仕事は顧客に商製品やサービスの提供を通じて、顧客に付加価値を認めてもらうことで対価を頂くことができます。つまり会社の中でなく、外に対して付加価値を提供することで顧客満足度を上げていかなくてはならないはずです。

良好な職場の人間関係が対顧客への仕事にプラスの影響を与えることもあるでしょうし、自分の希望する仕事内容だからこそ顧客に真摯に向き合えることもあるでしょう。

どんな仕事であれ、詰まるところ顧客が欲するもの、サービスを顧客が欲するタイミングで提供できるかどうかが最大のポイントです。そう考えたとき、日本の労働者が仕事をする上で大切だと思うことが、そのポイントに的確に反応しているのか、私には疑問です。

そういう意味では中国では「正当な評価」などされずとも高い賃金と明確なキャリアパスを示すことが重要と考えられているというのは、まさに資本主義的な考えだと感じます。

バブル崩壊に至るまでは日本は1億総中流と言われていました。それはやはり当時世界トップであったの経済力のなせる業だったのではないかと思います。

今、世界経済をけん引しているのはアメリカと中国です。日本には残念ながらこの2強に喰らいついていく力はないように感じます。そうであれば今まで以上に日本における所得格差は大きなものになっていくはずです。これは個人においても会社においても同じことです。

人の考え方を他人が変えることなど基本的には不可能です。しかしながら自分の考え方であれば自分自身の努力で変えられることもあるでしょう。これはこれで難しいことではありますが。(かくいう私もなかなか変えられません。)

それでも商売をされている社長の皆様の中にはどんな状況でも儲けることをあきらめず日々考え、経営されている方が大勢いらっしゃいます。こういう方にはやはり同じような考えをする方々が周りに集まっており、互いに切磋琢磨しながらよりよい経営をされているように感じます。

私自身、まだ道半ばではございますが、経営をしていく以上は「儲け」を第一に据えて、「儲け」を大事にされる顧問先様とこれからもお互い切磋琢磨してまいりたいと存じます。引き続きマエサワ税理士法人を宜しくお願い致します。