マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

人と人が会うことの重要さ

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第113号] 人と人が会うことの重要さ

2021年11月3日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の113】

『言外の感情を察することの大切さ 』 

相手の意を汲めていると思うのは一方的な話であり、僅かなボタンの掛け違いがあったとしても、それらは数字に表れるまで経営として自覚できないこともあるだろう。

もちろん効率化で経費を減らして利益を創ることは間違いではない。
だが稼ぐ力を増し、売上・粗利を増やすことで利益を創ることが王道だ。

経営の目的は儲けること。結果として稼ぐ力を失っていないか、改めて見直して頂きたい。

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新型コロナウイルス感染症により、世の中の働き方が大きく変わったと言われます。私も平均して週に2~3回、顧問先様とweb会議をするようになりました。
顧問先様の中にはコロナ禍以降、直接お会いすることがなくなった方もいらっしゃいます。もちろんさまざまな工夫をしながら税務・会計については以前と同様のサービス品質をご提供できるように取り組んでまいりました。しかし、対面の機会を失うことに戸惑うこともございます。

効率化により得られるもの、失うもの

web会議は効率的ではありますが、どうしても社長の真意を掴みづらくなった印象はぬぐえません。社長との意思疎通という意味でのweb会議の精度は『電話での話<web会議<社長の目の前で話す』といったところでしょうか。

直接お会いしてお話しすると必ずと言っていいくらい、話が脱線していきます。社長もそうですし、私もそうです。本当にたわいもない話が経営の延長線上の話につながることもあります。

私が感じるのは、この脱線した話自体も非常に意味のある話が多いということ、またそこから社長のお考えがわかることもあるということです。

もちろん人の内心がわかるなどと言ったら、言い過ぎです。私にそんな能力はございません。しかし「もしかしたら社長はこんなことを考えられているのかもしれない」ということがなんとなくわかることはあります。

社長の皆様はそういったことに非常に敏感な方が多いです。ですからこの手のお話はご理解いただけると思います。

ある社長から非常に印象的なお話をうかがったことがあります。

「世の中でリモートワークが進んで、本当に会社に人が集まらなくても売上と利益を上げられたら人なんか雇う必要はなくなるよね。」

「人を雇えば固定化したコストが発生してしまうし、労働問題が起きて厄介な思いをすることもある。それなら会社の業務をすべて外注化し業務分担する。仕事をしっかりこなしてくれたなら業務委託を続ければいいし、スムーズな仕事がこなせないのであれば業務委託を打ち切って別の人を使えばいいだけの話でしょ。」

「でも会社ってそんなものなの?人が集まるからいろいろなアイディアが出てくるのだろうし、切磋琢磨もできるようになるんじゃないかな。」

という趣旨のお話でした。誤解のないように申し上げるとこの会社はリモート化、自動化、固定費の見直し等をかなり進められています。感情的な話をされた訳ではありません。

確かに人が集まることで無用なもめごとが起きる可能性はあります。コロナ禍であれば感染リスクが高まるのも事実です。一方でもめごとが起きたとしても、面と向かって話すことで真にお互いを理解できる場合もあります。「雨降って地固まる」の諺通り、結果として結束力が高まることもあります。

効率化が目的ではなく、相手の意を知ることが目的

マエサワ税理士法人では顧問先様のもとに伺う月次監査の形式もコロナ禍前とあまり変わらず実施させて頂いております。コロナの罹患に対する脅威もあります。そしてコロナへの感じ方、対処法はそれぞれ皆異なります。

ですからコロナへの感度が高い顧問先様とは現状、web会議を中心に実施し、どうしても社長に直接お会いしてご説明させて頂きたいときのみ伺う形を取らせて頂いております。

その他の顧問先様につきましては、従来通り、月1回の月次監査を顧問先様へ伺う形で実施しております。この目的はまさに「社長の意を知ること」に他なりません。
数字を見れば儲かっているか損しているか、あるいは資金繰り状況等もおおよそはわかります。ですからクラウド会計を導入している顧問先様であれば、事務所にいながらにして数字の把握も資料の作成も訳なくできます。数字の先にあるものを社長の方々と共有させていただくために、我々は毎月の訪問を継続しております。

web会議は、話すことが最初から決まっていてその通りに進行していく研修のような一方的情報提供であれば非常に便利です。ただし双方向での会話、それも複数の場所からの複数人での会話となると途端に意思疎通が困難になります。

例えば本社には10人の人が集まり、その他の場所には複数個所に分かれた状態で1人、2人がいらっしゃったりすると本社の10人とばかり話が進み、その他の方と話の共有ができているかどうかわからなくなります。

同時に複数人が話し始めたと思ったら、「あっ」となってしまい同時に話を中断されてしまい、沈黙が続く、なんてこともよくあります。同じ場所に皆がいれば、同時に話をしたときに感じる気まずさなど無意識のうちに通過できるはずです。

web会議の課題を申し上げて参りましたが、私はそれを否定する立場にはありません。実際に便利だと感じることも少なくありません。しかし、先にも述べましたように、私は対面でお話しすることで得られるものがあると思っています。対面でお話しすることでしか得られないものがあると思っています。場面場面に応じて、効果的な会話の形式を適切に選択していきたいと考えています。

電子帳簿保存法の改正

最後になりますが、令和4年1月1日より改正電子帳簿保存法が施行されます。具体的には電子取引(例えばインターネットで消耗品を購入し、支払いはネット決済、紙の請求書は送られてこない)についてネットの請求書画面等をPDF等のデータ保存することが原則となりました。あくまで電子取引のみですので、紙で来ている請求書は従来通り、紙で保存すれば結構です。詳細はマエサワ税理士法人の担当者にご確認頂ければと思います。

デジタル庁を国が創設したこと等を見ていると、会計税務部分も電子化、自動化を図っていく方向になってきているように感じます。今、こういった点で今後の方向性に迷われている顧問先様、社長がいらっしゃれば、システム導入の検討も含めましてマエサワ税理士法人担当にご相談ください。