マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

ウィズコロナの船出

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第114号] ウィズコロナの船出

2021年11月17日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の114】

『大淘汰時代の幕開け 』

この未曾有の災害は人をも変え、企業をも変えた。常識も、行動も、そして経済活動さえも千変万化であった。
ここからは経済支援の打ち切りも相俟って、儲ける力のない企業はますます淘汰されていくだろう。
本業を離れず・こだわりすぎず、たゆまぬ商品開発を。生き残りを掛けた荒波を負けじと乗り切って頂きたい。

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第5波のコロナ禍による緊急事態宣言が明け、早2週間が過ぎました。朝のラッシュもランチ時の人手も夜の飲み屋街も、人の往来が少しずつ増えてきているように感じます。

それでもマスクを外している人はほとんどいません。テレワークやリモートワークが続いている企業も少なくないという話も耳にします。国はGO TOキャンペーンやワクチン割など、飲食店や旅行業などコロナ禍で壊滅的被害を受けた業種を中心に支援策を打ち出しているようです。

国は景気浮揚策を打つ一方で、補助金、助成金の支給は規模を縮小していくことになるでしょう。コロナ融資もほぼ終えております。コロナ禍の第6波が来ないことを祈りつつ、いよいよポストコロナの経済活動が始まると言えるかもしれません。

コロナ後の更なる淘汰の時代

コロナ融資も1年間元本据え置きのものについてはいよいよ元本の返済が始まります。これからが本当の意味での生き残りの戦いです。

これからは稼ぐこと、儲けることが非常に重要になってきます。何を当たり前のことを言っているのだと叱られてしまいそうですが、実際に稼げない、儲けられなければ企業自体が持たないでしょう。

日本経済新聞によれば、過去30年で米国の名目賃金が2.6倍になったのに対し、日本はわずか4%増にとどまっている現状がございます。30年間でたった4%増です。この現実は日本経済の中に生きる我々にとっては非常につらいものです。

この現実があるからこそ国も賃上げを企業に課し、東京都では最低賃金が1000円を超えてきました。これにより国民の所得を増加させ、消費を喚起し、企業の利潤を増やし、という好循環を目指しています。

しかし最初に賃金を増やすということはコロナ禍で体力が弱っている企業にとって厳しい要求です。税理士の業界新聞にも現状360万ある企業が2060年には200万減少し、160万企業程度になっていくのでは、という記事が出ておりました。

このようなことを鑑みれば、国も今までのように全ての企業を助けることはできないので、生き残るべくして生き残った企業を助けていく、というスタンスに変わっていかざるを得ないのではないでしょうか。

淘汰後の時代を見据えて

財布のひもがきつい、価格にシビアな消費者に対しては、それぞれの企業の提供する製品、商品、サービスがどれだけ受け入れられるかという商売の根幹が、改めて肝要になってきます。

財務上の言葉で表現するならば、「いかに粗利益率を上げていくか」、「いかに一人当たり生産性を上げていくか」に尽きます。

経営的に言えば、「いかに売れる製品、商品、サービスを提供し、相応のしっかりした対価を頂けるか」ということです。

私がお会いする経営者の方々にお話を伺っていても、とにかくコロナ禍で粗利益率を落としてしまった会社が多いです。売上高もこの1,2年で見れば増加した企業より減少してしまった企業の方が圧倒的に多いですが、粗利益率の低下は、売上高の減少と同等、あるいはそれ以上の問題です。

まずは単月損益を赤字からゼロへ、粗利益率と一人当たり生産性を上げる意識を社長だけでなく社員にも持って頂くことが非常に重要になってきます。社員も特に営業は売上を創ることを強く要求されるので、売上を上げたいばかりに粗利益が悪化してでも注文を取ってきてしまうこともあるでしょうし、売上が立たなければ資金繰りが回せないので綺麗事は言っていられない、という社長のお気持ちは重々承知しております。

ただそれでも、40年後に企業が半減以下しか残らないかもしれない現実を考えれば、もう一度原点に戻って「売れる製品、商品、サービス」の開発に注力することこそ、経営の王道であると私は考えます。

これは一朝一夕にはできません。アイディアを出すだけでも大変なことですが、しっかりした対価を受け取ることのできる製品、商品、サービスを、となるとそうそう出てくるものではありません。

今までの商売で儲けが出づらくなっているのであれば、本業の隣の事業を考えるしかありません。本業から離れすぎた事業ではせっかくの社長の経験も活かせず、素人が玄人に立ち向かっていくような勝負になってしまいます。つまり負けの確率が高くなってしまいます。本業の隣の事業で社長の経営ノウハウが活かせる事業への展開が理想的です。

コロナ禍が多少落ち着き、これから新たな船出になります。波もかなり高いですが、こんな時こそ社長の元気、笑顔が社員を後押しします。今こそ一致団結してなんとしても生き残っていきましょう。マエサワ税理士法人一同そのような顧問先様と一緒にこれからも歩んでまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。