マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

理想の税理士とは?

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第133号] 理想の税理士とは?

2022年8月10日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の133】

『相手に合わせたバランスを考える 』

儲けを追求することは銭を相手にするということであり、そこには経済・感情・法律等の様々な合理性が絡む。
銭とは人間の本音であり、人は実利を前にしたとき必ずしも合理的でいられるわけではない。
いま何が天秤に乗っており、相手にとって何が価値判断基準となっているのかを鋭敏に感じ取れる商売人でありたい。

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コロナも第7波が蔓延しておりますが、街の人たちの様子を見ていると、少しずつではありますがマスクを外して行動をする方も増えてきているようです。コロナを心配するか、熱中症を心配するか、個々人の判断にゆだねられる状況になってきたように感じます。

ところで、8月には税理士業界にとって一大イベントである税理士試験が行われます。今年は8月2日(火)から4日(木)にかけて3日間行われました。

三足の草鞋を履くのは難しい

税理士資格を取得するには、いくつかの主要な税金科目について勉強を重ね、その科目の合格を複数積む必要があります。 国税三法と呼ばれる法人税、所得税、相続税などは合格するまでに必要な勉強時間は1科目あたり平均700時間と言われております。1日平均およそ2時間。2科目受験するのであれば倍の4時間の勉強が毎日必要になります。

飯のタネになるのだからそれくらいは仕方ない、と言われればそうかもしれませんが、働きながらとなるとこれはかなりしんどいものです。昔、マエサワ税理士法人に在籍していた当時の常務理事は「税理士試験に合格するまでは仕事と勉強と遊びのうち、遊びはあきらめろ」ということを言っておりました。実際にそれくらい追い込まないとなかなか受かるものではありません。

マエサワ税理士法人でも仕事をしながら税理士試験の勉強をしている職員が多くいます。是非とも合格して頂きたいと心から思っております。

ひとつは税理士を志したのですからその志を完遂してもらいたいという思いと、もうひとつは税理士としてのプライドを持ちながら仕事をすることのやりがいというものがあるように思えるからです。

ただ、このプライドは自分の心にしまっておけばよいものです。決して顧問先様へ見せびらかすものではありません。顧問先社長からすれば、税務会計を熟知しているからこそ、そういった知識を必要とする業務を税務のプロであるマエサワ税理士法人へご依頼頂いているわけです。

例えば、税理士資格を持たないけれども仕事のできる会計事務所職員と税理士資格を持っている仕事のできない税理士でしたら、社長が求めていらっしゃるのはどちらの人物でしょうか。「税理士資格を持たなければ申告業務ができないでしょ」というのはおっしゃる通りです。ですからその部分は除いて、例えば社長が税務会計のことから経営上の相談をしたいと考えたときに、どちらの人に相談したいかという話です。

ほとんどの方が仕事のできる会計事務所職員に相談したいと考えるのではないでしょうか。

顧客が何を求めているのかを感じ取ること

経営者の皆様とお話するというのは非常に難しいことです。社長といっても十人十色です。年齢、経営をされている業種、社歴などすべて異なります。さらに同じ社長であったとしても、昨日判断されたことと、今日判断されたことが正反対なんてこともございます。明日も違う判断をされるかもしれません。社長だからというよりも人間ですから当然のことです。

我々は数字を扱う商売なので、数字に対する感度は高くあるべきです。ただシステムやコンピュータではなく、生身の人間ですから、数字の意味する日々の経営の積み重ねを紐解いた上で、経営上の課題点を発見し、社長と共有し、さらに課題を克服するためのご提案を考えていかなくてはなりません。

経営は結果としての数字がよくなければ良い経営をしているとは言えません。だからこそどこまでもドライに結果としての「儲け」を追求していかなくてはならないと思います。しかし経営をしているのは生身の人間ですから、そこには経済合理性を働かせなくてはならないのと同時に「感情」が必ず働きます。「感情」で慮りすぎて「儲け」が出ないのでは話になりませんが、我々は「感情」を理解して社長と経営についてお話していく必要があります。

私自身まだまだ未熟者ではありますが、このあたりのバランスは極めて重要だと考えております。

税理士試験に合格しようとすれば700時間/科目×5科目=3500時間の勉強時間が必要です。真面目にコツコツ勉強ができなければ合格できません。一方で我々が仕事として経営上のお話をする際には税法云々の話はほとんど出てきません。知識だけでなくこれまでの様々な社長とのお話や自分自身の経験など含めて、いかに社長の経営に役立つ話ができるかがポイントになってきます。

「勉強をコツコツできる能力」と「経営者の儲けを追求する上で役立つ能力」は二律背反するような能力のように感じます。だからこそ両方を高いレベルで持ち合わせていることが理想の税理士の条件であるように思えます。

マエサワ税理士法人職員一同、儲けに役立つ提案を社長の皆様方へ提供すべく精進してまいりますので、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。