マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

経営者としての凄み

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第134号] 経営者としての凄み

2022年8月24日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の134】

『100年続く企業は資本主義の王道を歩む 』

儲からずして100年と企業は続かない。
移り行く時代に合わせ、顧客が求める商品・サービスを開発し続け、貫くべき経営理念は曲げずに社員と共有する。儲かるための一歩一歩は決して易しい道程ではない。
良い時期もあれば悪い時期もあるだろう。一丸となって苦労は乗り越え、企業と共に成長して頂きたい。

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コロナ禍の影響で利益を出しづらくなっている会社が多い中、コロナ禍に関係なく利益を出し続けている会社もきちんとあり、その置かれている経営状況は実に様々です。

また、これらの会社を経営されている社長も実に様々です。たとえば、社長になられてからの年月。新規設立されてまだ間もない社長歴数年の方や、創業以来代表権を持ち続け数十年が経過する社長、先代社長から事業を承継された社長など様々な来歴の方々が経営に従事しておられます。

経営者としての年月が長いということはそれだけ事業を継続されてきたということですので、それだけでも素晴らしいことです。さらに言えば現在も利益を上げている会社、あるいは利益を伸ばしている会社については畏敬の念を抱きます。

利益を積み重ね事業を継続させることの難しさ

100年企業という言葉をこのメールマガジンでも書かせて頂く機会があります「これからも利益を出し続け、100年企業としましょう」という文脈で語ることが多いかと思います。一方で、既に創業100年、あるいはそれに近い年月を経ている顧問先様もございます。今から100年前といえば1922年、大正時代です。そこから昭和、平成、そして令和とくぐり抜けてきているわけです。時代の変化に合わせて商品や取引先、あるいは事業自体を変えてこなければ生き残れなかったはずです。

人間は一般的に変化を嫌う傾向にあります。「時代に合わせる」ことは難しいことです。一方で経営をしていく上での「変えてはならない考え方」があるはずです。

100年経営をし続けることは極めて困難なことでしょう。人生として100年全うされる方も少なくありませんが、実際に100歳を超えて経営に携わることは非常に稀有なことだと思います。マエサワ税理士法人の顧問先様でも会長となられた後でも経営に携わり続け、102歳まで毎月マエサワ税理士法人へご来社されていた方がおられました。

しかし結局のところ、一人の人間が100年事業を続けることは現実的に不可能です。そう考えると100年企業の凄さは事業承継を何世代かされてなお生き残っていることにあるように感じます。初代はゼロからの立ち上げでとにかく規模の拡大で成功すれば会社を次世代に引き継げます。二代目は初代の財産を基にさらなる拡大を図ることになりますが、そこが難しいように感じます。

例え親子関係にあったとしても初代と二代目は人格が異なります。同じように経営しているつもりでも周りから見ればそうみられないこともありますし、そもそもこれまで生きてきた人格形成の経緯が大きく異なることが普通です。食うや食わずやの初代と食べることに困ることなどなかった二代目では考え方が違って当然です。さらに昭和の時代と令和の時代でも世の中の考え方も大きく変わっています。

こうしたギャップはおそらくいつの時代にも存在します。考え方が違う経営者が事業を繋いでいき100年となるわけですから、経営環境に合わせて変化に対応することと初代から変えてはならない考え方を変えずに経営をしていくことの絶妙なバランスが求められてくるのだと思います。

厳しい経験は社長の器を大きく育む

長く経営をされている社長には、いくつかの共通点があるように思います。金を大事にされている方は経営に対する厳しさを持っていらっしゃいます。また、通常では考えられないようなヤマを乗り越えてこられた方々が多いので、言葉に含蓄があります。そして興味深いのは、そういった方々の笑顔は本当に素晴らしいのです。心の底から笑うことができて、社長の笑顔を見るとこちらまで幸せになるくらいです。

そういった社長に共通するのはもうひとつあり、経営的に厳しい時期を過ごされている経験があるということです。それも一度や二度ではありません。

大得意先の倒産で債権回収ができなくなったことにより資金繰りが悪化したにもかかわらず、金融機関からの借り入れもできずに右往左往したというお話。社員による業務上の不注意で会社運営を左右する事態に陥ってしまったり、それがマスコミに流れることで風評被害を受けることになってしまったというお話。あるいは今回のコロナも含め震災や豪雨など自然災害の影響を被ってしまったお話。自社には関係ないにもかかわらず業界で問題が生じた際にその影響を被ったお話など、少し思い出しただけでも社長からお伺いした「厳しかった時期のお話」は幾らでもございます。

会社経営は「自社だけは大丈夫だ」と思っていても、どこに自社経営に悪影響を及ぼすことが潜んでいるかわかりません。油断ならないことばかりです。ただ、おそらくこれらの幾多の困難を乗り越えられた社長にとっては今回のコロナ禍もそれらのひとつにすぎず(もちろん大被害を被っている会社が多く存在するのですが)、超えられないヤマではない、という冷静な判断をされていらっしゃるように感じます。危機感を持つことと、常に前向きな姿勢のバランスが絶妙であることも、成功されていらっしゃる社長の共通点と言えるでしょう。

社長からはよくこういったヤマのお話を伺うことがございます。それもニコニコされながらお話されます。伺っている内容はとても笑って話をするようなものではないのですが、これらの経験値が社長の器を大きくしているのかと感じます。

「苦労は買ってでもしなさい」と言われるものの、なかなか進んで苦労を買ってまでしようとは思いません。社長の皆様は「いやが応にも厳しい状況に対応せざるを得なかった」というのが本音かもしれません。しかしそれらの経験がやはり社長の器を大きくし、商売の反映に結び付いているのだと強く感じます。

苦労はできればしたくないというのが人情ですが、苦労をしないと人の気持ちに気づけない、ということをつくづく感じます。そういった社長の皆様に寄り添えるマエサワ税理士法人であり続けたいと思います。