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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第147号] 二極化のさらに先の話
2023年2月22日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の147】
『貧しい国、儲けづらい国 』
成長が停まり、”貧しい”と称され始めた我が国は、商売をする上で儲けづらい国となってしまった。その状況下で「どのように儲けるか?」を模索し続けなければならないのが今日の経営者だ。
過去を羨んだところで未来は何一つ変わらない。一歩でも二歩でも明日の儲けのために挑戦と改善を試みる経営者であって頂きたい。
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1月21日号の週刊ダイヤモンドに「超・階級社会 貧困ニッポンの断末魔」という記事がございました。
日本に限らず世界中ほとんどの国で貧富の差、二極化が進んでおります。実際に二極化が進んでいることは生活をしていても実感することが少なくありません。
この記事を読んでショックを受けたのは「1億総貧民の格差地獄」という表題です。二極化は「貧」と「富」ですが、総貧民は全員「貧」であり、「富」は日本にはいなくなるということです。つまり日本で富裕層になったとしても世界的には貧民となってしまうほど、日本の貧困が進んでしまうことにショックを受けずにはいられません。
この記事では所得の層を5つの階層に分けて説明しています。
① 資本家階級(219万人、3.5%)
② 新中間階級(1450万人、22.8%)
③ 旧中間階級(751万人、11.8%)
④ 正規労働者階級(2194万人、34.5%)
⑤ アンダークラス(1739万人、27.4%)
全ての階層でコロナ禍前の収入よりも現在の収入が減っています。そして貧困率もコロナ禍前より現在の方が高くなっております。
変化に対応できなければ淘汰の未来が待っている
先日ある顧問先様からこんなお話を伺いました。アメリカの子会社に出向している社員の給与は出向手当を含めておよそ1000万円の給料だそうです。日本で1000万円の年収といえば比較的高い年収といえます。
ところがその社員から、「とてもじゃないがこの給料では生活がもたないから何とかしてほしい」という切実な賃上げ要請があったそうです。その後、この話を私にされた方自身がアメリカへ出張される機会がありました。その時、アメリカの物価が日本とは比べ物にならないくらい高いことに気づかれたそうです。外食ランチを1000円で納めるなどほぼ不可能。そもそもアメリカでは年収1000万程度では貧困層であること、年収1500万円くらいないと一般的な生活が送れないということを知ったそうです。
日本企業はバブル崩壊後、設備投資を抑制したり、正規雇用から非正規雇用に変え人件費を圧縮することでなんとか利益を確保していました。その間、給料の金額は伸び悩みましたが、企業の自助努力(!?)により商品価格に転嫁せずにやってきたお陰で、デフレ基調が続いておりました。
給与が増えずとも物価も上昇せず、安定的に円高ドル安基調だったことにより、失われた10年、20年、30年と言われながらも表面上は大きな問題が隠された状況でコロナ禍を迎えました。
コロナ禍で世界経済は一気に停滞し、大きく冷え込みました。そしてコロナ禍が完全には治まっていない中、アメリカ・中国・ヨーロッパ諸国はいち早く経済活動を再開しました。日本は経済的には完全に取り残されてしまいました。
そんな中、ロシアウクライナ戦争が勃発し、為替相場も一時150円程度まで円安ドル高が進みました。こうなると資源を持たない日本はひとたまりもありません。コロナ禍でも半導体などIT関連の部材が輸入しづらくなっていましたが、ロシアウクライナ戦争後はすべての輸入材の価格が値上がり、各種メーカーも生存のための値上げ合戦をスタートさせました。
一方、政府は賃上げせよ、の一点張りです。もちろん、賃上げできなければ社員の生活が守れないので当然の話ではあります。しかし企業自身が稼げなければ賃上げしようがありません。賃上げをするにはまずもって売上と利益を確保しなければなりません。
競争力のある商品、製品、サービスを持っている会社は良いですが、そうでない会社はこれから10年、20年で確実に淘汰されていくことになるでしょう。冷静に見ればこれから日本経済が昭和の時のように右肩上がりの経済になることはまずないと思います。逆にさらに悪化していくように思います。
少しでも余裕があるうちに改善の一手を
見通しは決して明るくはないでしょう。それでも1年とか2年といった短期間にそのような状況になってしまうかといえば、過去の貯蓄もありますから、時間的には若干の猶予が与えられているように感じます。
つまり過去の貯蓄により与えられた猶予期間のあいだに今後10年くらいで会社の利益体質を強化していき、それを達成できれば日本でも生きていけるはずです。
そのためにも①よい商品を創る、②よい顧客を創る、③よい商品とよい顧客を知る社員を創る、ことが儲けるために最重要となり、社長はまずは儲けること、そして貯めること、さらに次世代へバトンタッチしていくこと、が事業継続のために必要なこととなっていきます。
経済の二極化という言葉は、以前から使われていました。しかし記事によれば、以前とは比較にならないほど、実際に二極化が進んでいるようです。
経済社会で生きる以上、我々は絶対に「儲けられる人」を目指す必要がございます。これはコロナ禍などの特殊外的要因に対応するためという側面ももちろんございますが、平時でも意識し続けなければなりません。そもそも、経済社会に平時など存在しないのです。
昨日もある顧問先様で会議に出席しておりました。その中でその会社の会長が「とにかく変化を恐れる社員が多すぎる」「今日良くても、明日にはそれは劣化が始まっている」とおっしゃっていました。
「たゆまぬ改善」こそ、経営に必須の要件となります。
マエサワ税理士法人の顧問先様の黒字率は70%を超えています。これは儲けることが上手な社長の皆様のお蔭です。そういった社長の皆様にご紹介頂いた新たな顧問先様も黒字企業であることがほとんどです。「類は友を呼ぶ」というようにこの好循環をこれからも守っていきたいと思います。
どういう環境であれ、社長の儲けに対する確たる意志さえあれば、今後も日本で儲けることはできます。マエサワ税理士法人も「儲け」の部分で社長へのお役立ちを続けて参る所存です。どうぞ宜しくお願い致します。