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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第148号] 優秀な人材とは
2023年3月8日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の148】
『社会に求められる会社であるか 』
我々は経済界・資本主義に生きている。
誤解を恐れず言えば、儲けられる会社が正義であり、人も物も金も、儲かる会社に集まってくるのが実態だ。
社長は稼ぐこと、儲けを貯めることに一番貪欲であってほしい。
その姿を見て、自分も!とついてくる社員を育てよう。
儲かっているという事実が最も人を惹きつけるのだから。
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先日、M&Aを専門にしている会社にお勤めの方とお話をする機会がありました。ご存じの通り、M&Aはいま活況を呈している業界のひとつです。彼が昼休みにランチを取っていると、同じ業界の別会社の知人に「今の年収の2倍出すからうちに来ないか」と声をかけられたそうです。
稼げる会社を目指し、稼げる人材を狙おう
この手の話は M&A業界ではよくあるそうです。後発の会社は先行する会社に追いつくために、乱暴とも言えるほどの飴をぶら下げて優秀な人材の獲得を目指しています。
また、GAFAの一角で働かれている方からも興味深い話を伺いました。この会社ではインセンティブとして従業員に(給与とは別に)自社株式が支給されています。しかしもらえるのは「自社株をもらう権利」なのです。その権利は半年ごとに4分の1ずつ実現します。つまり2年在籍しないと当初の権利を行使しきれないことになります。会社としては人材の流出防止という目論見があるのだろうという話でした。
しかし優秀な人材の獲得競争は熾烈です。上のような制度があることを承知の上で優秀な人材を引き抜こうとします。「わが社へ転職してくれれば、君が将来得られたであろう株式の価値に相当する金額を一時金として支払おう」と勧誘されるのだそうです。
先ほどのM&A会社に勤めている方は22時を前に退社することはまずない、ということでした。退勤が午前0時を過ぎることも珍しくないそうです。「優秀な人間が長時間働く」という世界が存在するのです。
もちろん社長の皆様の中には「自分も同じだ」という方も多いのではないでしょうか。年輩の社長の皆様からは「昔の働き方はいまとは比較にならない(ほどハードだった)よ」というお話を多く伺います。1980年代に「24時間戦えますか」というCMが流れていたことを私も覚えています。
儲かる会社では優秀な人間を獲得し、そして優秀な人間は長時間働くことを厭わずに仕事をしている。それは確かに理想です。しかし私は初期的に追及すべきは「長時間働くことができる」ではなく「質の高い働きができる」ということだと考えています。社会で競争できる人が求められています。
ちなみに先ほどのM&Aの会社では、入社後1年で成果を上げられない人は即バックオフィスへ異動となるそうです。華やかな表舞台にいた時と比べれば給料は大きく下がります。まさに二極化、資本主義の極致のように感じます。
“常に儲ける”という姿勢をとる社長であれ
今、テレビCMを見ていても、転職に関するものが結構流れています。要は「稼ぐことのできる人間、質の高い働きができる人間」がこれまで以上に求められているということに他なりません。そしてまた「そうでない人は求められていない」ということでもあるのではないでしょうか。
派手な人材獲得競争に参戦できる会社はそう多くないはずです。我々は自社の社員と共に稼いでいくことを考えていくしかありません。
そのためには社長が社長らしくあることが前提となるように思います。社長が会社で一番の営業マンであり、社長が会社で一番のアイディアマンであり、社長が会社で一番会社が好きな人である必要があります。社長は常に、会社の向かう方向を言葉や行動で社員に示していかなければならないのです。
そうでなければ社長と同じ方向を向いて働こうという社員は育たないでしょう。優秀な社員はそれこそ転職を考えてしまいます。
社長が社長らしくあるための条件の中で、最も重視すべきものは「会社で一番の営業マン」だと私は考えています。社長は売上を創ることができなければなりません。特に事業承継される二代目、三代目の社長候補の方には必須だと思います。まずは社員の皆様に認められなければ本当の意味での社長にはなれないように思います。
「時間外労働はやりたくありません」「インセンティブが出ない雑務はやりたくありません」と言う従業員がいるという話も聞くことがあります。一方で「お客様のお困りごとだから」という視点で行動できる従業員の話も伺うことがあります。働き方に対する考え方は千差万別です。
しかし私は本当の労働者の権利というのはサービス残業がないことではなく(それも大事ですが)、「仕事を楽しむ権利」のことだと考えています。仕事の楽しさとは、お客様の役に立ち、きちんと利益を出すことです。社長らしい社長でなければ、仕事の楽しさを従業員に教えることはできないと思います。
人材不足の話を伺う機会が増えています。私は、将来の採用計画に対する不安を払拭するのは儲けることだと考えております。皆様はどうお考えでしょうか。