マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

日本の行末を見誤らないように

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第149号] 日本の行末を見誤らないように

2023年3月22日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の149】

『儲けづらい国で儲けるために 』


3年もの長きにわたり、社会の常識をも大きく変えたコロナ禍は、50年100年経った後にも時代の節目と言われる出来事と言えよう。

経済は日々動く。この先も大小の時代の変化が待ち受けているだろう。

その歩みの先にある日本と、そして自社の行く末はどのようなかたちだろうか。

稼ぐ力を伸ばし、その結果をもって社会に認められる国・企業を目指したいものだ。

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所得税・贈与税の確定申告が3月15日に申告期限を迎えました。マエサワ税理士法人では普段、法人の顧問先様を中心とした業務を行っているので、個人のお客様の仕事をさせて頂くのは今の時期だけです。もちろん医師や弁護士の先生方など、月次監査をさせていただいている個人事業主様もいらっしゃいますが、基本的には社長の方々の確定申告が中心となります。
今年もマエサワ税理士法人では約450件の確定申告業務を無事に終えることができました。この時期を特段の事故なく乗り切れると一安心できるところが正直ございます。

また、毎月お会いする社長の方々とは別に、年に1回この時期にだけお目にかかる個人のお客様も一定数いらっしゃいます。

長く確定申告をご用命頂いているお客様からは書類をお預かりする際にお手紙を頂戴することも少なくありません。「今年もどうぞ宜しくお願い致します。」というお言葉のほかに「資料を準備するのが億劫になってきました」というような内容のお言葉が増えているように感じます。

また直接お会いして書類をお預かりする際にも同じようなお話を伺うことが多くなりました。世の中は電子帳簿保存法やマイナンバーカードの普及などでますます電子化・自動化が進んできておりますが、これらに対応できない高齢者を中心とした方々には暮らしづらい世の中になってきたことを感じずにはいられません。そうした新しい制度を分かりやすくお客様にお伝えするのも我々の責務でございます。

置かれている環境(マクロ)を認識・理解すること

令和4年度の所得税確定申告を見ていて感じるのは令和3年度に引き続き、不動産売買が活発に行われていたということです。最も不動産売買が活況と申しましてもこれは首都圏だけの話のようです。

国土交通省の不動産価格指数(住宅)は2010年以降、宅地、戸建住宅、マンション(区分所有)のいずれもが全国で上昇しています。特にマンションの指数の上がり方は凄まじく、2010年を100とすると2022年には180まで上昇しています。

東京でのマンション価格を見ていると、最近では1億円出しても3LDK、70㎡程度のものしか買えません。しかし、日本人の平均年収が500万円そこそこであるにもかかわらず、こういった物件が飛ぶように売れています。海外の方も含めた一部富裕層が集中的に買われていて、いまだその競争率が高いために日本での不動産価格は上昇傾向にあるようです。

海外の富裕層からすれば元々リーズナブルであった日本の不動産が、昨今の円安ドル高でさらに安くなっているのですから、今後ますます首都圏の不動産価格は上昇するのかもしれません。

話は変わりますが、日銀総裁が黒田氏から植田氏へバトンタッチするとの発表がございました。植田氏へ変わり、金融緩和路線がいきなり金融引き締めに変わることはなさそうですが、アメリカをはじめ各国で金融引き締めに動いている中でいつまでも日本だけが金融緩和をしていられないのは言うまでもないことです。

今の日本は1200兆円の借金があると言われています。人口は1億2千万人ですから、ざっと一人あたり1千万円です。日本人の平均年収を約500万円とすると2年分です。企業で考えてみると、運転資金に係る借金の許容値は一般的に月商の3か月から4か月と言われています。平均年収の2年分の借金というのは異常な水準と言わざるを得ません。

1200兆円の借金は国債を国民に持ってもらうことで成り立っていますが、当然利息が発生します。ここで金利が1%上昇すれば1200兆円×1%で12兆円の利息が追加的にかかることになります。仮に金融引き締めが始まり、金利が1%上昇すれば日本の国家予算が100兆円余りですからその10%以上が利息の支払いに消えていくことになります。

そんなわけで急に金融緩和をやめることもできないとは思いますが、一方で世界各国の金利が上昇していき、日本だけ低金利になっていれば、日本円の需要は下がり米ドル需要が上がり、さらなる円安ドル高へと向かっていくことになってしまいます。

日本は資源国ではありませんから小麦やら食品やら鉱物資源やら様々なものの供給を海外からの輸入に頼っています。円安ドル高が続けばこれら資源の獲得もままならなくなり、国内産業もやっていけなくなってしまいます。

進むも地獄、退くも地獄とはこのことです。

業界や自社(ミクロ)への影響・変化を敏感に感じとること

日銀の金融政策が中小企業の経営に与えるインパクトは決して無視できるものではありません。金利が1%上昇したときに増加する支払利息を試算すれば、何が起こるかは明白です。私はこれまで「借入金利も安いので現預金を持たない経営より、借金をしてでも現預金を持つことで安定した経営をしていく方がよい」と申し上げてきました。

今すぐではないにしろ「借金はできるだけしない方がよい」という時代がすぐそこにやってきているように思います。時代の変わり目を読み間違えるととんでもない目に合いかねません。

そのための準備は、と言われれば稼ぐしかありません。そしてその銭を貯めて借金に頼らない方向へ向かっていくしかありません。日本という国が人口減・高齢化・資源に乏しいという状況になってきたときに頼りになるのは「人の知恵」です。ありとあらゆることを考え、世の中に受け入れられる商品・サービスを提供していくしかないのです。

我々マエサワ税理士法人にも同じことが言えます。今までと同じことを漫然と繰り返していたのでは衰退の一途を辿るだけです。どうやって苦境に立たされている企業経営を立て直すことができるか、これを一緒に考え知恵を絞り、結果として企業経営をよい方向へ舵取りするお手伝いができるか。我々はこれからもその実現のために邁進して参ります。

連続性のない世の中では過去の経験をそのまま活かせないことが多くなりました。我々が蓄積してきた知見も、刷新しなければならないものが多くございます。マエサワ税理士法人職員一同、進化をし続け、チャレンジし続ける所存です。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。