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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第150号] 社長が背中で見せる「儲け」
2023年4月5日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の150】
『儲かる会社になるために 』
儲かる会社に必要なものとは?という話をする際、良い商品・良い取引先・良い社員、の3つを挙げている。
このどれもが、現状あるもので留まってしまうと、経営はジリ貧となってしまう。
今あるものを伸ばすとともに、必ず「新規・拡大」をし続けることが肝要だ。
新たな風を取り入れる際は、それで会社が儲かるのか?の視点をまず持って頂きたい。
効率を求めて効果(儲け)が減るならば、それは経営にとって本末転倒でしかないことは肝に銘じたい。
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社長が常に営業のトップであるという姿
先日、決算報告のためにある顧問先様に伺いました。大型機械(例えば自動車製造に使われる機械)の部品として使われる切削工具の卸売事業をされている会社です。
コロナ禍で自動車の製造が滞ってしまったことや、アフターコロナにあっても半導体不足、あるいはあらゆる資材、原材料の高騰により切削工具業界もその荒波に飲み込まれました。業界全体として業績が低調になっているところが多いようです。
そんな中、この顧問先様では社長がトップ営業で取引先へ出向き、様々な提案をすることで拡販に繋げてまいりました。そのおかげで直近決算でも業績を下げることなく増収増益となりました。
社長は始めから切削工具業界で仕事をされていた訳ではなく、先代であるお父様が亡くなられたのち、先代が築いた会社を守るために社長になられた経緯がございます。実は社長になられてようやく4年が経過したところです。
当初は社長の自社事業に対する理解は非常に心細いものでした。社長がわかっていないことをいいことに、社員も好き勝手なことをやっていたようです。しかし、社員の説明に全く納得のいかない社長は切削工具について独力で一から勉強しました。まさに寝る間を惜しんでの「勉強」でした。
始めは取引先に見下されることもあったようです。しかし、休み返上でコツコツと勉強・仕事をされた結果、取引先も従業員も、社長を社長として認めざるをえない状況を作られました。
平日は、社長が仰るにまだまだレベルの低い社員からの様々な質問、社員の作ったクレームなどの処理に追われ、それをこなしつつ全国各地をトップ営業で駆けずり回られています。実はこの会社では経理や給料の事務作業も社長がやっていらっしゃいます。平日は現場に追われているので、経理や給料業務は土日しかありません。
この顧問先様は私の自宅からも近いところにあります。通りを歩いていると社長のいらっしゃる部屋の明かりがついているのが見えます。夜遅い時間でも明かりがもれていることがよくあります。
年齢の話をすると叱られてしまうかもしれませんが社長は70歳に近いご年齢です。まったくずぶの素人だった方がたった4年でトップ営業により取引先の拡販ができるようになったこと、さらにはあらゆる業務を社長自身でやり切る精神力に感服します。もし若い頃から事業経営をされていたらと思うと空恐ろしいほどです。
社長は見事先代社長の地盤を引き継ぎ、事業を拡大させてきました。さらに「業界の古い常識など知ったことか」の精神で、これまでの業界取引のあり方にも一石を投じている部分があるように思います。そういったことをやっかむ人もいるようですが、それに臆することなく、新事業年度もさらなる増収増益を目指して今期も邁進されております。
人に任せること、人を育てることの難しさ
社長が全てこなしてしまう副作用かもしれませんが、経理を社員に任せてもなかなかクオリティーが上がらず、結局、社長が経理業務をしなければならない現状があります。社長も間接業務は人に任せたいと思っていますし、我々も含めて周りからも「任せるところは任せてはいかがでしょう」という提案を受けるものの、社長は「では誰に任せられるのか?任せられる人がいるなら任せているし、任せてもうまくいかないから今があるのでしょう」と仰っています。このあたりは非常に難しいところです。
私が日々感じているこの社長の素晴らしいところは「いかに稼ぎを残すか」に徹底しているところです。月の途中で「今月の目標を下回りそうだ」というときには昼夜なく営業し、結局、新規取引先を獲得し目標達成したということもありました。
また、ここは売上を稼げると感じた取引先には社長がその取引先に通い続け、取引先にとっても利のある提案をすることで新規取引先を増加させていきます。今、社長以外に営業できる人材は社内に一人しかいないそうですが、それでも社長一人でやっていたことから考えれば、会社が成長していると間違いなくいえます。
この顧問先様だけでなく、多くの会社で人手不足が叫ばれてから久しいですが、最近は人手不足だけでなく、「優秀な」人がいないという話もよく聞きます。
「優秀な」人はいないよりいた方がいいに決まっていますが、トップである社長以上に優秀な方はなかなかいない、というよりそういう人は基本的に別の会社に行かれるのでしょう。
いないことを嘆くよりも現有の社員でやっていくほかないのが中小企業の現実です。社長以上に働く社員などいません。やはり社長が先頭切って働いて稼いでいる背中を社員に見せ続けていかねばならないように思います。
「ワークライフバランス」と叫ばれて久しいです。個人の選択の問題なので私がどうこう言うつもりはありません。ただ私は日本がどういう変化を遂げたとしてもマエサワ税理士法人を黒字会社でやっていきたいと思っております。そのためには是が非でも顧問先様には黒字会社であり続けて頂きたいと思っております。
「類は友を呼ぶ」と申しますが、是非ともこういった思いを持つ社長の皆様とマエサワ税理士法人は共に歩んで参りたいと存じます。これからもどうぞ宜しくお願い致します。