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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第154号] 最近の日経平均株価について
2023年5月31日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の154】
『一早く黒字体質へ戻す 』
日経平均株価とは、日本を代表する企業群に対する”評価”とも言い換えられる。
その上昇要因は様々であるが、一つには投資家から日本企業の業績回復が認められ、ないしは期待されていることがあるだろう。
資本主義に生きる企業として、儲けて黒字を出し続け、その在り方を以て社会からの評価を高められる企業であって頂きたい。
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ここ最近の日経平均株価は安定して3万円台をキープしております。
新型コロナウイルスへの対応を見ていても、諸外国のような経済優先の思い切ったかじ取りをせず、日本は立ち直りが遅れていると感じておりました。
ところが4月に入ってから日経平均株価は上昇し続け、5月17日に30,093.59円と3万円を超えて以降、しばらく3万円の大台を維持しております。
日経平均株価の上昇を見て感じること
顧問先様へ伺って業績を見ていると、ようやく新型コロナウイルスの影響から解放されつつあり、明るい兆しを感じることが増えてきました。コロナ禍ではどんなテコ入れをしても黒字化に至らなかった企業がようやく儲けを出しつつある状況に戻ってきています。
人の流れを見ても、これはあまり有り難くないことですが、朝の通勤ラッシュもコロナ禍前の状況に戻ってきましたし、新幹線や飛行機に乗っても本格的に混雑してきました。先日のGWでは高速道路の渋滞情報で30km以上の渋滞が何度か出ていたりと、観光地も大いに賑わっていました。経済活動を活発にするにはとにかく多くの人が動くことが一番だと感じます。
とはいえ、日本全体の経済を見た場合、そこまで回復しているのかと感じるところもあります。中小企業ではこれからコロナ禍でのいわゆるゼロゼロ融資の返済が本格化してきます。目先の儲けが出始めたところで良化してきているとは思いますが、とても順風満帆とは言えない状況のように感じます。
ところが日本経済新聞によれば、三菱UFJ、三井住友FG、みずほFGのメガバンク3行合計で2兆5000億円程度の利益が出たようです。過去最高は2014年3月期の2兆5086億円だったので、過去最高に匹敵する利益水準であることに間違いありません。
さらに上場企業の2023年3月期の純利益合計は39兆881億円で2期連続の過去最高益となっております。
少し古いですが2020年の法人の申告所得は63兆円余りでした。税務上の申告所得と会計上の純利益は完全には一致しませんが、それでも申告法人企業280万社のうちのたった3500社の上場企業の純利益合計が日本全体の法人所得の6割以上を占めているのです。
この現実を見ると政府が生産性の向上や賃金増加を企業に求め、達成できそうにない企業の市場退出を促している状況を良く理解できます。
マエサワ税理士法人の顧問先様には是非、生産性の向上と賃金増加を達成して頂き、また我々もその達成を目指して良きパートナーとしてやっていけるよう精進してまいります。
社会に求められる企業群に入ろう
少しわき道にそれましたが、上場会社に限って言えば全体的には大きく利益体質に戻ってきているようです。そのことを海外投資家はよく理解していて、だからこそ日本株へ投資しているのです。
投資家として著名なウォーレン・バフェット氏も2020年より大手投資会社バークシャー・ハサウェイの子会社を通じて日本の5大商社の株式を取得し、それ以来日本株投資を進めているそうです。また、ヘッジファンドの巨人といわれるヘッジファンド・シタデルが15年ぶりに日本で拠点を年内に開くなどといった報道もあるようです。
世界的な経営コンサルティング会社であるA.T.カーニーの海外直接投資信頼度ランキングによると、2012年における信頼度ベスト5は中国、インド、ブラジル、アメリカ、ドイツの順だったのが、2023年にはアメリカ、カナダ、日本、ドイツ、英国の順に変わったそうです。新興国ブームから先進国の安定性に投資評価が変わっていることがわかります。
特に日本は2012年には21位まで落ちていたので、今回3位に上がっているのは特筆すべきことです。
正直、このような状況が長く続くかはわかりませんが、現状は海外投資家が活発に日本株投資をしているのにはこういったわけがあるのです。
投資家が投資するのも利益を取れるからであって、日本企業がそのように見られていること自体はとてもよいことです。ただ我々を取り巻く経済環境は残念ながら悪化しております。円安ドル高、原料高、資源高、これらの結果としての物価高、生産労働人口の減少、高齢化社会、悪いことを挙げればきりがありません。
しかし、外的環境は悪化するものです。経済環境がどれほど悪化しようとも、利益を出し続ける企業は必ず存在するでしょう。マエサワ税理士法人の顧問先様の黒字率は70%超です。元気であり続ける顧問先様に加え、コロナ禍を脱する顧問先様が増えていくことで、顧問先様の黒字率は上昇するかもしれません。そのときであっても選びつづけて頂ける税理士でありたいと私は思っております。
いかに一人当たりの生産性を高め続けられるか、それに見合った賃金を社員に支払っていけるかにかかっていると思います。日本の企業は上場企業だけでないというところを社長の皆様と共に見せていきたいと心から思います。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。