マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

M&A仲介業者との話の中で感じたこと

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第157号] M&A仲介業者との話の中で感じたこと

2023年7月12日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の157】

『どう儲けるか?を先へつなぐ 』

昨今、事業承継が問題となっている日本の中小企業において、M&Aは出口戦略のひとつの選択肢となった。
後継のいない企業にとって、M&Aにより幸せな着地ができることもあるだろう。

納得のいくM&Aを行うためには、自社の企業価値を高めておく必要がある。
大事なのは継続して儲けを出せるようになることだ。
是非儲けを出せる黒字体質の会社を目指し、未来を描く選択肢を増やして頂きたい。

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先日、M&A仲介会社の方と話す機会がありました。多忙な日々を過ごされているようで、「同時に6社の案件に対応している」とのことでした。

一昔前であれば「M&Aは一部の上場会社の話であって中小企業には縁のないもの」と考える経営者が多かったように思います。「社長にとって会社は自身の子供のようなものであり、子供を売るなどけしからん」と考える方が大多数でした。

時が過ぎ、今日では中小企業でも会社の売買を選択する事例が増えてきています。M&Aという事業の出口戦略を選択肢として考える経営者は珍しくありません。社会的価値のある会社が清算の憂き目に合わずに、技術力や人材が流出することを防げる、という点において、M&Aは合理的な選択のひとつと言えます。

もちろん、M&Aがすべて良い方向に転がるとは限りません。M&Aが成立したもののお互いの企業文化が合わずに肝心の業績が下降線を辿ってしまったり、会社を手放した社長が社員に悪感情を抱かれてしまったりするケースも散見されます。また、残念ながら仲介業者の中には仲介手数料を稼ぐことが目的になってしまい、売買を成立させることだけに注力する者もいるのも事実です。

マエサワ税理士法人も顧問先様と仲介会社の三者でM&Aを実行したケースが何件かございます。今後も増加していくのではないでしょうか。

納得のいくM&Aを実現するには

納得感のあるM&Aとなるためのポイントのひとつは「社長と仲介業者の相性」です。この信頼感が得られない場合はうまくいかないことが多いように感じます。

ですから、事業や会社の売却のご相談があった時には、多くの場合、社長には複数の仲介業社にお会いしていただきます。その中でフィーリングの合う仲介業者があれば、その仲介業者と顧問先様、マエサワ税理士法人が三位一体となってM&A実現へ向けて手続きを踏んでいくことになります。

もうひとつ納得感のあるM&Aとなるためのポイントは外部内部を問わず「情報漏洩を防げるか」です。社長を含めごく一部の人以外、M&Aが進んでいることを知りません。仮に情報が漏れてしまえば、社員や取引先の不信感が高まり、M&Aを実施しても実施を取りやめても企業価値は落ちてしまうでしょう。

従って仲介業者の選定は非常に重要です。仲介手数料も決して安いものではありません。ただM&Aをやると決めたならば、電光石火の早さで押し進めていかなければなりません。時間がかかってしまえばそれだけM&Aにかかる情報が漏洩してしまうリスクが増してしまうからです。

事業や会社を売却される社長にとっては、できれば1円でも高く売りたいとお考えになられるのが自然です。M&Aで売ることができる事業や会社というのは社会的価値の高い商品・サービスを提供している証拠ですから、M&Aで事業や会社が売れることは幸せなことであるといえます。

事業承継で親族やプロパーの社員が事業を継いでいくのもひとつの形でありますが、M&Aもまた事業を継ぐ別の形なのでしょう。

M&Aで高く売ろうと思えば、社会的有用性の高い事業である必要があります。今売ってもそう高く売れない事業・会社であっても2年、3年と頑張って企業価値を今より高めることで2年後、3年後、今売るよりも高い価格で売れる可能性があります。

いつも申し上げることですが、黒字の会社であればやれる施策は山ほどあります。逆に赤字の会社ではやれることは限定的にならざるを得ません。
M&Aをご検討されるときには、マエサワ税理士法人に是非お声がけください。

儲けに対する考え方の合うパートナーを選ぶ

話は戻りますが、冒頭の仲介会社の方曰く、同時進行で進める6社のM&A案件のうち、4社が会計事務所の案件とのことでした。高齢の所長さんが今の時代の流れの速さについていけず、事務所の売却を考えているケースが多いそうです。

一方で、会計事務所を売りに出そうとする人より会計事務所を買おうとする人のほうが圧倒的に多いそうです。数字を扱う会計事務所らしく資産負債などはきれいに整理されているので、一般の事業会社よりもデューデリジェンスなども仲介業者にとっては楽だそうです。

ただ・・・こうやってM&Aを行った後の会計事務所がうまくいっているケースはなかなかないそうです。「それはそうだろう」と思います。私は会計事務所のM&Aは簡単ではないだろうと思っています。

私自身で他の会計事務所を訪問して税理士と話しても、考え方は本当に千差万別です。資格業として、法令の順守は大前提ですが、その枠組み内で経済合理性を追求して最大利益を出すことこそが資本主義では必要なことです。

このメールマガジンでも繰り返し申し上げてきたとおり、我々マエサワ税理士法人は「クライアントの儲けのお手伝い」を重視しています。一方で、数字を合わせること、正しい申告書を書くことのみに注力する税理士も存在するのです。正確な月次決算、正確な申告は当然です。我々はプラスアルファを提供できる会計事務所でありたいと考えているわけです。考え方の異なる会計事務所が一緒になっても、シナジーが生まれることはないでしょう。

マエサワ税理士法人は顧問先様の成長とともにまだまだ成長してまいりますので、どうぞ宜しくお願い致します。