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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第158号] 黒字法人割合が上昇しました(令和3年度)
2023年7月26日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の158】
『黒字化と黒字の継続 』
コロナを経て廃業となった中小企業も数多くあるが、全体として黒字法人の割合は大きく減ることがなく、コロナ後の経済へと移りつつある。
資本主義で経営をする以上、黒字を目指すこと、そして黒字を維持するという強い気持ちを絶やさない経営者であって頂きたい。
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国税庁のホームページに会社標本調査結果の令和3年度分が公表されました。会社標本調査結果とは、昭和26年から令和3年に至るまでの各年度の黒字法人、赤字法人それぞれの法人数、営業収入金額(≒売上高)、申告所得金額などが表記されている表のことです。
ご興味がございましたら、国税庁のホームページから「ホーム→刊行物等→統計情報→国税庁→会社標本調査結果」と進んで頂ければこのデータにたどり着きます。
日本の法人の約38.3%が黒字という結果
さて、このデータによれば、令和3年度の申告法人数は2,848,518法人であり、うち1,090,917法人が黒字法人でした。黒字法人割合は38.3%となっております。過去、黒字法人割合が最も低かったのは、平成21年、22年あたりの27.2%でした。安倍政権、菅政権は功罪それぞれあったと言われますが、こと「黒字法人の割合が増加した」という点に関しては一定の効果があったように思います。
さらに令和3年度の営業収入金額(≒売上高)は1,478兆円余りを計上しており、うち黒字法人が1,142兆円余りを占めております。
また申告所得金額(≒経常利益)は60兆円弱を計上しており、うち黒字法人が75兆円余りを占めております。(赤字法人は申告所得金額がマイナスになるので黒字法人と赤字法人の申告所得金額の合計額が黒字法人の申告所得金額を下回ります。)
黒字法人の営業収入金額と申告所得金額をそれぞれ黒字法人数で割ると黒字法人1社あたり約10億円の売上、そして黒字法人1社あたり約6,900万円の申告所得金額となります。申告所得金額は経常利益と当たらずも遠からずの数値であるといえますので、そう考えれば経常利益率7%(6,900万円/10億円)の優良会社といえます。
ただし一方で、法人の約半数が売上高5,000万未満であるという事実もございます。一部の「超」優良会社が多額の売上高と利益を獲得しているから平均値でこれだけの売上高と経常利益率を達成していることもわかります。
コロナ政策も終わり、稼ぐ力が求められる
令和3年度はまだコロナ禍の真っ只中にありました。それにもかかわらず黒字法人割合が上昇していることに違和感を覚えないこともありません。しかし現実に黒字法人割合が上昇しているということは政府の補助金政策やゼロゼロ融資が奏功したのかもしれません。
もちろん、黒字法人割合の上昇は企業の自助努力の賜物でもあると思います。コロナ禍で大打撃を受けた飲食業を見るとコロナ前と現在では大きな変化が起きております。
コロナが蔓延し始めた当初は、行動制限が加えられ、在宅ワークが進みました。結果、外食産業は大打撃を被りました。消費者を呼び戻すために外食産業も営業形態を変えました。アクリルパーテーションなどで席を区切り黙食させたり、店内での食事にこだわらず弁当を販売したり、宅配に力を入れたり、店内の食事でもオーダーの際に店員との接触を避けるため、タブレットによる注文も激増しました。今ではスマートフォンでQRコードを読み取らせて、そこからメニューを見て注文するお店まで出てきています。これが世の中の流れなのでしょう。
これだけのことをされていても利益を出すことができずにいるのが現状です。それでも利益を出すために知恵を出し続けている飲食店をされている顧問先様には本当に頭の下がる思いです。まだまだ売上・利益ともに安定していない状況ですが、行動制限がなくなった今、なんとか良い結果に導かれることを祈らずにはいられない思いがあります。
ところで、本日お話させて頂いた国税庁のデータの始まりは昭和26年からになっております。太平洋戦争が終わったのが昭和20年ですから戦後5年間のデータはないということになります。
ここからは前沢会長の話の受け売りになります。戦後まもなくは国土が荒廃しており、生きていくのに精一杯だったので、徴税の仕方が今とはまるで違っていたそうです。
終戦直後はお金を持っていそうな個人、法人のところへ行き、これだけ税金を払え、というようなかなり乱暴な徴収がされていたそうです。最も納税する側も納税意識は極めて低かったものと思われます。こうして徴収した税金のうち1946年予算では歳出総額の32%、1947年予算では歳出総額の31%、1948年予算では歳出総額の23%といった多額の支出が「終戦処理費」という名目で連国軍の要求に応じて予算化されていたそうです。
数字を見ているだけでも経済について時代の流れを見て取れるデータですが、歴史を紐解けるところもございます。
繰り返しになりますが、令和3年度の284万法人の黒字割合は38.3%でした。ちなみに令和4年に集計したマエサワ税理士法人の顧問先様の黒字割合は70%を超えております。これは顧問先様の儲けに対するこだわりの賜物に他なりません。
これから先どのような経済状況になろうと、経済社会を生き抜くには黒字法人であり続けることが必要です。我々マエサワ税理士法人もその一助となれるよう不断の努力をしてまいりますのでどうぞ宜しくお願い致します。