マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

経営に対する考え方 

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第164号] 経営に対する考え方 

2023年10月18日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の164】

『稼げる人間になること 』

いかに立派で崇高な経営理念を掲げようとも、稼げぬ経営ではままごと遊びとなってしまう。
我々経営者は資本主義の経済に生きるものだ。経営者として、大前提として儲けることを念頭に行動することを忘れてはならない。

稼ぐためには稼げる人間と付き合うことが一つ大切だが、それは相手にとっても同じことだ。
同じ方向を向き、稼げる集団を目指そうではないか。

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今回は、建設業を営む顧問先社長にお会いした時のお話です。

この会社は現社長が一から立ち上げられました。土地を購入してそこに住宅を建設し、建売住宅として販売されています。

この会社では毎年年末になると大忘年会を開催します。会社の従業員は勿論、協力会社も一堂に会する盛大なものです。マエサワ税理士法人の担当者、会長の前沢もその席にお招きいただいております。
会長の前沢は毎年この大忘年会で皆様に挨拶をさせていただいておりました。しかし今年から、その大役を私が担わせていただくこととなりました。そのご挨拶のために社長のところへ伺わせて頂きました。

向いている方向を同じくすることで生まれる盤石な経営

社長からは、現在の業界の状況、自社の事業の状況、また大忘年会の意義についてなど、さまざまなお話をいただきました。
忘年会の時に、自社の社員の皆様はもちろんのこと、協力会社の皆様まで呼ばれるのは、皆で一年間無事にやってこられたことを喜ぶためだけではありません。「忘年会の場に一堂に会した全ての関係者が同じ方向を見て仕事をした結果、良い業績を納めることができたことを関係者一同で確認する」という意味があるようです。社長の本意は後者にあり、だからこそ社長は大忘年会を非常に重視されていると私は感じました。
不動産事業は往々にして取引金額が多額になります。ともすれば一攫千金を狙って抜け駆け、などということもよくある話です。(それもひとつの商売の在り方ですから私が否定するような話ではありません。)

ただこちらの社長は(もちろん適正利益にはこだわりながら)筋の通った、堅実な商売をされてきました。そして社長は協力会社の皆様を大事にされてこられました。これは彼らなしでは商売が成り立たないということを体感的に理解されているからでしょう。お話の中でも「協力会社の皆様」という言葉が幾度となく登場していたのが印象的でした。これだけ大事にされていれば、おそらく協力会社の皆様も「この社長についていこう」という心情になられて当然かと思います。

こういった考えで経営を続けていると、「自分だけが出し抜いて儲けを出してやろう」という人はいつの間にか協力会社の中からいなくなっていくそうです。考えが違うところにいる自分自身がいたたまれなくなるのでしょう。

社長は「自分のまわりには良い人ばかりが集まってくる」とお話されていました。私はそれこそ、社長の魅力がなせる業だと思います。社長の人柄、経営に対する考え方、さらにその考え方に基づいて実際に稼ぎ続ける力、そして協力会社の稼ぎもついてきているからこそ、皆様がこの社長についていくのだと強く感じました。

経営者として目指す生き方で自ずと付き合う人間が決まってくる

協力会社であれ、得意先であれ、仕入先であれ、事業を行う上で「どんな人とやっていくか」は非常に重要なことです。そんなことは当たり前じゃないか、と言われてしまうかもしれません。しかし、どんな人と商売をやるかを決定しているのは「社長の考え方そのもの」です。
価格戦略で商売をやっていくとすれば、得意先としてはどちらかといえば所得が多くはない方がターゲットとなるでしょう。付加価値をつけて商売をしていくのであれば、その付加価値に興味のある比較的所得の高い方がターゲット層になってきます。どちらが正しいという話ではなく、経営者としてどのように経営を考えるかで結果としてどんな人と付き合っていくか、付き合えるかが決まってしまいます。それが結果としてその会社の商品や社員、取引先に表れているのだといえます。

一方でこちらの顧問先様にも課題がないわけではありません。もはや「中小企業あるある」と言えそうな話ですが、「これだけ人望と実行力のある社長の次をどうするか」という課題です。子供であってもプロパーの社員であってもあるいは外からの人材であっても、現社長と同じような経営はまずできないでしょう。私も二代目ですから会長の前沢のような経営を継続していきたいと思っておりますが、その難しさを日々感じております。

とはいえ自社はもちろんのこと協力会社の社員もいらっしゃるわけで、どんな形になるかわかりませんが、事業を承継していかなければなりません。事業承継は会社の株を譲ったからそれで大丈夫というものではありません。株の承継だけではまだ半分。事業経営を承継できてこそ事業承継の完了です。既に熟慮されておりますが、これから大仕事が待っている、といったところです。

マエサワ税理士法人はこれからも顧問先社長が経営で困られときの良き相談相手であり続けたいと思っております。どうぞ引き続き宜しくお願い致します。