マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

器の大きさ

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第166号] 器の大きさ

2023年11月15日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の166】

『会社を伸ばすための舵取り 』

ワンマン経営という言葉があるが、これは誰が偉い偉くないという話ではなく、誰が儲けるための意思決定を行うのかという話に他ならない。
こと中小企業においては、会社でトップの営業マンは社長であってほしい。
最も稼ぐからこそ、その発言には自信と説得力が生まれ、組織を先導できるのだ。

誰よりも儲け、しっかりと貯め、会社を伸ばして頂きたい。

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優れた社長とはどのような社長でしょうか。資本主義的には「儲けることができ、儲かったお金を貯めることができる社長」が最も評価される社長と言えます。
より具体的な「社長のタイプ」という話になれば、まさに十人十色、百人百様です。私は日々、多くの社長にお会いしておりますが、一人として同じ人はいらっしゃいません。本当にいろいろなタイプの社長がいらっしゃるなと思います。
ただ、あえて傾向のようなものを探すとすると、社長の世代による分類ができるかもしれません。
70歳代以上の社長には非常に強力なカリスマ性で従業員を牽引する「俺についてこい」タイプが多い気がします。様々な艱難辛苦を乗り越えてこられた歴史そのものが社長の説得力となっており、社員の皆様からの信頼も抜群です。いい意味でのトップダウン型と言えるでしょうか。

40歳代50歳代の社長となると、トップダウン型とボトムアップ型の折衷となっている方が多い気がします。経営者として意思決定は行い、責任も自らが取りつつ、社員に仕事を任せ自主性や自ら考える力を養わせようとするタイプの社長です。
今日は、この40歳代50歳代の社長のお話をさせていただきます。

見守ることの歯がゆさと、責任を負う覚悟

一人目の社長はグループ会社5社を束ねる方です。グループ全体の売上高は50億円程度。この社長の素晴らしいところは、「分析力」です。極めて冷静にかつ冷徹に自社の特徴、市場の変化、将来の会社の姿を考えておられます。課題を明確に認識し、いかにすれば現状を打破し、より稼ぐことができるかを考え、現状できうることに次々と着手する「実行力」も備えた社長です。

この社長はグループ内で二番目に規模の大きな子会社の社長にプロパー社員を任命しました。子会社はコロナ禍により大変な痛手を受けているにもかかわらず、子会社の運営は自身が任命した社長に任せています。必要な助言や激励はしつつも、親会社の社長自身は決して表に出ることはないようにされています。

もし親会社の社長が動いてしまうと、子会社の社長のやる気をそぐばかりでなく、子会社の社員に「結局は親会社のいいなりなのか」という失望を抱かせることになるでしょう。この社長は、子会社の社長を本当に育てたいと思われているのです。

とはいえ、最終的な責任は親会社の社長が負うものです。「子会社の社長は〇〇に任せているから」という一言で済ませることができるものではありません。「あいつなら打開できる」と言い切れる社長はそう多くはないでしょう。子会社の社長もそれを感じて、業績回復に向け日々奮闘されております。

陰ながら社員を支え、伸ばそうとする姿

二人目の社長は売上高35億円の製造業を営んでいらっしゃいます。こちらの会社では1年ほど前に現在の社長を外部から招き入れました。社長が就任された当時、この会社は人事面に大きな課題を抱えていました。特に管理者クラスの方々の残業時間が大きな問題となっておりました。調査してみるとその原因は以下のようなものでした。

この会社には社員とパートタイマーの方が働いていますが、パートタイマーの方ができることを社員がやったり、社員に任せればよい業務を管理者がやったりしていました。管理者がプレイヤーになってしまっていたのです。

さらには、いくつか部門があるにもかかわらず、管理者クラスの部門間の異動がありませんでした。そのため、人に仕事がつくことになってしまい、余計に部門間の異動を困難にしておりました。

新社長はこれら二点について改善するために管理者クラスの部門間の異動を積極的に行いました。また長時間労働が問題になっていた部門については二交代制を導入することで生産能力増強とともに人員を増加させ、偏っていた残業時間問題の解決を図りました。

結果として、急激な変化についてこられなかった社員・パートタイマーは会社を離れることになったものの、大半の社員・パートタイマーはそのまま会社に残り、全体としての残業時間は大きく減少しました。また、プレイヤーになっていた管理者も本来の管理業務に時間を割けるようになり、より効率的な生産や新たな製品開発に時間を割けるようになりました。
そして、若い人を管理者登用することが若い世代のモチベーションアップに大きく寄与したようです。これまでは内向きな会話が多かった会社に、外向きの会話が飛び交うようになっています。訪問するたび「会社の雰囲気が良くなっているな」と感じます。

実は今回、社長は従業員ひとりひとりの履歴書を再度熟読し、実際にどんな技能や特技があるのかをつぶさに確認されたそうです。例えば生産部門にいる方でもPCが得意な人がいれば、取引先や商品ごとの売上、粗利益データを作成させ、どの取引先や商品を終売したほうがよいかどうかのバブルチャートを作成する指示を出しました。そうして提出された資料は、実際の会議における検討資料として利用されています。

この社長も決して派手な方ではありません。表向きあまり目立った行動をとることはせず、どちらかと言えば陰で社員がよい方向に動く様に仕向けている印象です。

私は、トップダウン型、ボトムアップ型、どちらが良いという話を申し上げるつもりはありません。
冒頭にも申しましたが、「儲けることができ、儲かったお金を貯めることができる社長」であるならば、その具体的な運営の仕方は外部の者がとやかく言う話ではないと考えています。

マエサワ税理士法人の顧問先様には、今日紹介した社長の他にも多くの優秀な社長がいらっしゃいます。これがマエサワ税理士法人の強みに他なりません。こういった社長の皆様の経営のお役に立つことこそ、マエサワ税理士法人の存在意義と信じ、我々はこれからも邁進して参りたいと思います。これまで同様に今後ともどうぞ宜しくお願い致します。