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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第168号] 社長のパートナーとなるために
2023年12月13日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の168】
『役立ちのかたち 』
競合相手としのぎを削る中、どうすれば自社を選び続けてもらえるのかは常に課題となることだ。このとき、顧客に要求されたことをきちんとこなす、というだけで生き残っていけるだろうか。
顧客の役に立ち、儲けてもらい、こちらも儲けさせてもらう。これは資本主義において一つの理想のかたちだ。
相手がどう受け取るか?どのように役立てるか?の視点を常に持ち、言われたことをやったから良いだろうという下請け思考からは一早く脱却して頂きたい。
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2か月に1回、前沢会長を座長として、およそ15会計事務所の所長先生方が集まり、事務所経営について考える会がございます。名称は事務所経営研究会というもので、平成6年に会が発足してからちょうど30年となりました。
事務所経営研究会では毎年12月にシンポジウムが開催されます。会に参加されている所長先生方が、自身の経営されている事務所の1年間の業績や実践された業態開発などについて本音でお話しされる討論会です。今年も例年通り『質の領域の拡大・実践戦闘シンポジウム』が開催されました。
儲けている相手と付き合うことで自社も伸びていく
税理士の所長も会社経営者の一人です。そういった意味でこの会は所長先生にとっては経営が誤った方向にいっていないかどうか確認するメルクマール(指標)のような役割を担っているのかもしれません。
まずは自分自身が、すなわち税理士が稼いでいなければ、稼いでいる社長が我々と仕事をするはずがありません。なんとしても会計事務所も儲けなければならない。そのためには顧問先様にも是が非でも儲けて頂かなくてはならない、という資本主義の鉄則が事務所経営研究会の中心的な考え方となっております。
会計事務所の所長先生が集まると「記帳代行をやったほうがいいのか、やらないほうがいいのか」という話題になることがございます。
マエサワ税理士法人では基本的には記帳代行をお受けしておりません。自計化を推進しております。自計化とは、会社自身で経理を行い、月次決算を締め、毎月試算表を作成することをいいます。会社で自計化していない場合は経理を外注することになります。これが記帳代行になるわけですが、少なくない会計事務所で記帳代行を請け負っております。
なぜマエサワ税理士法人で記帳代行を請け負わないかと申しますと、ひとつは社長のされている経営の結果である数字を社長に管理してもらいたいからです。自社の財布の中身は自社で把握するのが自然であると思います。
自計化が図られれば毎月、社長の頭の中にある数字と実際の数字との答え合わせができます。両者が合致していればそれでよし、合致していなければ、どこに齟齬があり、どのように対応していくかすぐに考えることができます。またお金の流れもほぼ完ぺきに把握できるようになり、こうなれば誰に任せても社長は経理のポイントだけ見るだけでチェックできます。
それにより対応できることも出てきます。わざわざお金を払って人にやらせる必要はないと私には思えます。
下請け屋の思考に陥らないこと
もうひとつマエサワ税理士法人が顧問先様に自計化を推進している大事な理由があります。マエサワ税理士法人では常に「顧問先様のお役に立つ=顧問先様の儲けの役に立つ」ことが重要であるということを職員に申し上げております。
これを実践しようとすれば、自然と社長と経営についてお話をすることになります。社長からのご相談を頂くことももちろんあるでしょう。社長からご相談頂けるのは、少なからずマエサワ税理士法人の担当者と話すことでなんらかの経営上の課題の解決につながるかもしれないと考えたからであるはずです。
もし、マエサワ税理士法人が記帳代行業務を顧問先様への仕事の大きな柱の一つとしているならば、今と同じように社長から経営のご相談を受けられるのでしょうか。
社長にとって我々がパートナーであることを我々は望んでおります。ところが記帳代行をやることでおそらく我々は社長にとって経理の下請代行屋になってしまうでしょう。どちらが上とか下とかいうことではなく、仕事をする上でお互いに重要なパートナーでなければ、おそらく社長に経営の相談をされるという関係性は築けないものと思います。
仮に私が経営上の重要な相談をするのであれば、少なくとも自分より能力が高いと思われる、あるいは経験や知見の豊富な方にご相談させて頂くでしょうし、そうでない方に相談することはまずあり得ないと思います。記帳代行を請け負うということはそういうことなのではないかと思います。
もちろん記帳代行という仕事はなくならないでしょうし、それを他の会計事務所がされることについてとやかく言う権利などないことは重々承知しております。ただマエサワ税理士法人としては記帳代行を本業の柱としては考えてないというだけのことです。
今回のシンポジウムの中で、ある所長税理士が自身の体験談を語られました。
最初に顧問契約をする際に「税理士に経営助言をもらおうなどとは毛頭も思っていないので、しっかり税金計算だけをしてもらえれば結構です」と言われたそうです。
同じ業界にいる者として非常に寂しい言葉だと思いました。しかしおそらく税理士業界に対する世間様の評価はこれに近いものがあると感じております。もちろん税理士は万能ではありません。しかし「ただ申告書を書いてくれる人でしょう?」という世間様の評価を書き換えていくことが我々マエサワ税理士法人の使命だと私は信じています。
ちなみに、「しっかり税金計算だけを…」と言われた前述の税理士は、その後、その言葉をひっくり返す働きをされています。組織再編や事業承継のご提案をしていくなかでその社長の信頼も得て、今では社長のパートナーになられています。事務所経営研究会のメンバーとして嬉しく思うと共に、我々もそうでなければと襟を正しました。
マエサワ税理士法人はなんとしてでも顧問先社長の皆様のパートナーとして社長の経営に役立つことを第一として職員一同邁進してまいりますので、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。