マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

経営の神髄 

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第172号] 経営の神髄 

2024年2月7日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の172】

『我々は資本主義に生きている 』

経営者である以上、誰しも儲けたい。それが肯定されるのが資本主義という戦いの場だ。
経済を動かすのは資本主義であり、経営は資本主義の中でしか成り立たない。
謙虚に、それでいて獰猛に。経営を、そして社会を担う経営者として、儲けを追い求めよう。

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マエサワ税理士法人の顧問先様に、一軒のラーメン店から始め、その後弁当屋に事業を拡大、一代で上場企業にまで押し上げた社長がいらっしゃいました。その方は既にお亡くなりになられているのですが、先日デスクを整理している際に、この方が亡くなられる直前に書かれた文章のコピーを見つけました。それは経営に対する考え方、ご自身の生き方について書かれた文章です。これまでも幾度となく読み返してきた文章ではありましたが、今回読み直し、改めて私自身深く考えさせられるところがございました。是非、顧問先社長の皆様にもご参考になればと思い、今回のメールマガジンでご紹介させていただきます。

以下、この文章に書かれていた部分をそのまま記載させて頂きます。(【】かっこ部分です。)

お金を払う立場である相手の役に立つこと

【経営はなにかで社会貢献することだと考えている。従って私的な事より世の中の進歩向上に役立ったかどうかが大切と考えている。企業は人を目的に向けて教育訓練するが、それは一番大事な公的な仕事だと思う。人を育てることが一番の社会貢献である。上に立つ者は教育者であるべきである。】

社会貢献、いかに社会に役立つか、マエサワ的にいえば「いかにお客様の役に立つか」ということになるでしょうか。このことを社員に体認体得させることが社長の役目となります。当然、社長自身が体認体得できていなければ社員にそれを伝えることもできず、社長自身がそれを強く感じ、そして実践していかねばなりません。

上の文を読んでいて思い出した言葉があります。明治時代の政治家、後藤新平が残した『財を遺すは下、仕事を遺すは中、人を遺すは上とする』というものです。やはり経営者の中でもトップ中のトップであった弁当屋の社長も自身の財産には目もくれず人を育てるというところをクローズアップしていたのでしょう。

【欲望について。人間は欲があるから生きている。小欲より大欲をもって志を高く生き抜いたほうが良いと信じている。物や金や資産は資本主義社会だ。勝者へのただ単なるご褒美である。対して興味はない。挑戦しているプロセスが楽しく、幸福な日々を味わうことが出来た。いいことも悪いことも自分を成長させる肥料になっている。本当に修行の連続である】

会長の前沢は毎週行われる研修で常に「我々が存在している場所は資本主義世界だ、それを忘れるな。」と話し続けています。様々な価値観があるのは当然のことですが、マエサワ税理士法人が顧問先様に提供すべきはまさに「顧問先様の儲けへの役立ち」です。その価値観を職員一同共有することが結果として、「顧問先様の儲けへの役立ち」につながり、それがマエサワの職員一同のさらなる成長につながり、全体としてマエサワ税理士法人の成長につながるものと信じております。ただ、「物や金や資産が勝者へのただ単なるご褒美である」と言い切れるところに経営を達観されていることを強く感じます。物や金や資産への執着が強すぎるとあまりうまくいかないということは常々感じておりますが、なかなか自分自身、「単なるご褒美」と言い切れるほど達観できておりません。この方は亡くなるまで周囲がびっくりするくらい極めて質素な生活をされていたそうです。

資本主義の経済界で仕事をする上で持つべき心持ち

【生きていくのはシンプルなほうが良い。名誉、地位、金を持つと人間が変わってくる。求める必要なし。ほどほどが一番良い。一番楽しいことは自分で働いて自分で稼ぐ楽しみを味わうことである。人の資産はあまり楽しくない。知恵と涙の結晶で勝ち取ったものが尊い。しかしそれもこだわってはいけない。結果のカスにしかすぎない。】

この文章に異論を唱える方はいらっしゃらないでしょう。しかし実際にこの通りに考えて実践できる方はごく少数ではないでしょうか。朝起きてから寝るまで、おそらく寝ている時でさえも事業経営のことを考えていた方だからこそ言えた言葉ですし、この方を知っていらっしゃる方であればこの方の仰ることだからと心の底からこのように感じられると思います。とはいっても私はまだまだ「結果のカス」を求めてしまいがちです。私自身、もっと仕事の本質(=儲けのお手伝い)を見つめていかなければなりません。

【病気に休みなし。健康で元気な時の一生懸命働いた後の休みのうれしさ、楽しさ、スポーツを含め楽しさが増加する。反対に、病気とは24時間年中無休で痛みや苦痛が出ている。休むヒマなしである。病気を体験すると本当に健康のありがたさが身にしみる。】

この方の闘病生活は5,6年に及んだと伺っております。当初は医者からは余命半年を宣告されていましたが、ちょうど上場しようとしていた時期でもあり、それこそ死に物狂いで経営だけでなく病とも闘っていらっしゃいました。私もちょうど50歳になり、健康の重要さを今更ながらに認識し始めました。社長の皆様も様々な人には言えないご苦労、ストレスが多々あると思います。しかし自分の置かれた立場から逃れることが出来る訳もなく、結局は自分自身が強くなるしかありません。そうやってこの厳しい経済界で生き残ってこられた皆様ですからマエサワ税理士法人も社長の皆様と共に生き残っていきたいと考えております。

私はこの文章を読むたび、「経営者の魂ここにあり」という感想を抱きます。尊敬する先達の声に素直に耳を傾け、自分なりに咀嚼し、自らの経営に落とし込んでいくことを日々実践していこうという確固たる決意が生まれます。
実はこの方の残された文章には続きがございます。また機会があればご紹介させて頂きたいと思います。