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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第173号] 社員のモチベーションをいかに上げるか
2024年2月21日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の173】
『結果として儲かるのか? 』
会社において、社員に持ってほしい感情は、前向きなプラス思考である。
過去を振り返り反省することも大事だが、そこで燻らず前を向いて進めることが肝要だ。
社員皆が前を向きやすい、良い循環を生める環境作りへの投資も一つだろう。
経営者として持たなければならない視点は「それをやって儲かるのか?」である。
人間、人には好かれたいに決まっている。だが経営者はその感情を超越し「結果として儲かるのか?」で物事を測らねばならない。
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投資のための儲けを、儲けのための投資を、良い循環を作りたい
何度となくこのメールマガジンで登場いただいている顧問先様のお話です。この顧問先の社長は『会社は儲けを出したら、その儲けを会社の独創性を出すための投資に使わなければならない。投資先が人なのか、機械なのか、なんなのかはその会社の考え方次第。とにかく投資をするためには儲けを出さなければならない。』ということを仰っていました。
また社長はこんなことも仰っていました。『会議に出席すれば、自身の身体や資料を見ることなどは強制されることになるが、頭で何を考えているかまでは強制されない。つまり頭で別のことを考えていてもそれを咎められることはない。多くの人は、身体と資料が強制されるとその資料や直接的な話ばかりに目や耳を傾け考えがちであるが、そうではなく、常に別の視点で物事を考えていくクセをつけなければならない。』と。
今回の会議では、1月の経営成績が報告されました。通常であればなかなか利益が上げづらい1月だったにもかかわらず、2.5億の売上で1000万円余りの経常利益があがっていました。
前社長の解任と新社長の就任というドラスティックな変化があったのが昨年1月。それから1年が経過しましたが、役員幹部の皆様のやる気みなぎる様子は1年前には見られなかったものです。会議の場での話も非常に前向きなもの、後輩や部下を思いやる発言、自身の反省や今後の改善などを話されるときも非常に具体的です。
ある幹部の方は、『最近、利益基調が続き、自分自身利益が出ることを当たり前に感じるようになっていた。昨日(会議の前日)も、普段であれば利益を出すことが難しい1月に1000万円の経常利益を計上できたにもかかわらず、在庫数量や在庫金額のズレや予算と実績のズレについての分析について部下に指摘するばかりで、利益が出たことについて褒めることをあまりしなかった。本当であればまずは利益を出せたことについてもっと素直に褒めてあげるべきだった。』というような反省の弁を述べられていました。
この幹部の方は非常に優秀な方で工場長を任されています。責任感が強く、人としても信頼に値する方です。こういった方が役員幹部の前で反省の弁を述べられる雰囲気や、その方自身の心持は素晴らしいものがあると思います。こういった上司であれば部下の方も一生懸命働こうとするでしょうし、なにか工場長にあれば助けたい、と思うのではないでしょうか。
モチベーションが上がる環境作りで会社を盛り上げる
前出の社長はこうも仰っていました。『こういった経営幹部の集まる会議では高尚な話題、たとえば最新鋭の機械の導入や工場建設などの会議をすることのみがここで行われる会議だと思われる人が多いが、当社のようにパートアルバイト比率の高い会社では、どんなに効果の高い、あるいは効率化を図ることができる機械よりも、パートアルバイトの方々からすれば、帰る際に事務所に寄って「失礼します」と挨拶をすると「お疲れジュース」をもらえる制度や休憩スペースにゆったりくつろげるように人工芝を敷いて、実際にのんびり休憩時間をすごせる場所を作った方がコストもかからず、どれだけパートアルバイトの方々に喜んで頂けることか。』
『ジュース1本をパートアルバイトの方々に配るかどうかをわざわざ役員幹部の集まる場で決めることもなかろう、という人もいらっしゃるが、実はこういった配慮が、役員幹部に求められることであり、高尚な話題と同じように重要な決定事項だ』と社長は話されていました。
さらにパートアルバイトの方々については、『単に労働力を提供してもらうという感覚よりも「協力」をもらうことを考えければならない。』とも仰っています。先ほども書かせて頂きましたが、誰かが何かに困っているときに「私が手伝います」という協力が会社には不可欠だというお考えです。
そのためにもパートアルバイトの方々のモチベーションを高めることを考えていかなくてはならないわけです。この顧問先様とは別の顧問先様ではパートアルバイトのことを「ファミリーさん」と呼んでいらっしゃいますが、これも正社員とパートアルバイトの区別なしに一緒に会社を盛り上げていこうという意思表示の一つのように思います。
前沢会長は、①よい商品ですか、②よいお客様ですか、③①と②をよく理解している社員ですか、という話をあらゆる顧問先様でお話しされます。どれも重要ではありますが、やはりよい社員がいなければ会社は発展拡大できないとマエサワ税理士法人を見ても顧問先様を見ても強く感じます。
よい商品、よいお客様、よい社員、どれも一朝一夕にはできるものではないですが、常にこれを考えていくのが社長の仕事だということを改めて感じられた会議でした。
今回ご紹介した顧問先様社長とお話をしていて感じるのは、視点の広さ、深さと説得力です。社員の誰よりも利益貢献し、社員の誰よりも俯瞰的に自社の置かれた位置を把握されており、社員の誰よりも労を惜しみません。経営者としてひとつの理想形と言えるでしょう。
こうした考えの経営者の方々と共に成長するマエサワ税理士法人でありたいと私は思っております。