マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

我の出し方?我を出さない?

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第176号] 我の出し方?我を出さない?

2024年4月3日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の176】

『なぜ努力をするのか?』

自分が思う「良い商品」と顧客が思う「良い商品」は似て非なるものだ。
良い商品とは自分がどう感じるかではなく、金を払う相手が良いと感じる商品のことであり、それこそが儲かる商品である。
商品開発をはじめ、経営には不断の努力が求められる。
そのどれも自分が満足するためではなく、”儲けるため”にするものであると肝に銘じたい。

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相手が自身の”我”をどのように感じているか

先日、Yahooニュースに『松下幸之助が説いた「有能なのに会社で大成できない人」の一つの特徴』という記事があり、こんな話が載っておりました。

『ひとつ例をあげましょうか。Tを使いにやると必ず成功する。そして、先方がどういう感じをもつかというと、「Tはんはなかなかええ番頭はんや。松下さんはええ番頭はんを持ってまんなあ」という感じを与える。 』

『井植(井植歳男:三洋電機創業者)をやりますとね。やっぱりそういう感じを与える。しかし、一つ違うことは「松下さんとこは、ああいうええ番頭がたくさんおるらしいなあ」という感じを与えてくる。そこが違うところなんですよ。』

私は何度か2つの文章を読み直しましたが、恥ずかしながらどこが違うのが分かりませんでした。そして続きの文章には、

『どっちも目的を達成して、相手を感心させて帰ってくる。そこは同じだ。しかし相手を感心させてくる感じがひと味違う。それで井植はのちに成功し、Tは大成しなかった』

『幸之助はこう分析している。 「Tには”自分”というものがあった。非常に商売はうまいし、熱心。説得もうまい。しかし、いくらか、自意識というものがあるわけです。井植のほうは、ぼくに同化してやっていましたから自分というものがない。だから松下(電器)というものが前に出る。Tのほうは松下ではなくて自分という感じが残ってしまう」』

もちろん、ここに出てくるTは決して無能だったわけではないのです。『むしろ、有能ゆえに、逆にあらゆる場面で有能さを示さずにはいられない自我が出て、それが経営者としては瑕疵となったのだ。』と幸之助は言っています。

人間であれば誰でも我が出てしまうものだろうと思います。ただ、経営で我を出すところを間違えると途端に坂道を転げ落ちるように業績が悪化することは間々あります。だからこそ「相手が自身の我をどのように感じているか」ということは商売において成功するか否かに大きな影響を与えるのだと思います。

いかに優れているかではなく、いかに役に立てるか

私の職業に置き換えて考えても「我」というものにはいろいろ感じることがあります。たしかに税理士は税務会計に関して言えば、一般の方に比べ豊富な知識を有しているでしょう。税法科目で一つの科目に合格するためにおよそ700時間程度の勉強時間が必要とされるようですから当然のことです。だからこそ社長の皆様は税理士と税務顧問契約を締結して税務申告を税理士に任すわけです。

そう分かっているはずなのに、税理士は社長に対して「税金に詳しいですよ、私は。」なんて意味合いのことを言ってしまうのです。もちろん社長がお聞きになられたい税務案件について話をする分には構わないのですが、特段社長が聞きたいと思っていない、あるいは社長に話す必要がない税務の話をしてしまう。

これは実は、税理士にとって税務の話をすることが楽だからなのです。税金の話をしていれば、自分の知識の範囲で解決できますし、社長から「そうじゃないよね」という指摘を受けることもありません。税務の話をしている限りは、問題が起きることもなく、また仕事をした気になれます。

でもこれでは社長の顧問税理士であることはできても、社長の経営のパートナーとしては不十分です。

ここを強く意識して我々は仕事をしないとパートナーとしては社長から見捨てられるでしょう。会計事務所として税務申告をするだけの人になってしまいます。

社長の考える経営全体の中で、税金関係の占める割合なんて5%程度です。しかしながら我々が社長のところに月次監査で伺い、社長とお話するとなればやはり一定割合の税金に関わる話がでてまいります。決算時点での利益見込が出てくれば、およその税金計算も出てきますし、それによって決算前にやったほうが良いようなご提案もできます。

ただし本業で儲けることが第一であって、事業の結果である儲けに対する税金は二の次です。そう考えるとやはり通常の月次監査でも本業部分での課題の洗い出し、改善策の検討、改善策の実行、そして結果についての検証が必要不可欠であり、社長の皆様には是非とも我々との月次監査をこのPDCAのP(計画)とC(改善策の実行結果についての検証)に使って頂きたいと思います。

我々も税務でお役立ちするのはもちろんですが、いかに社長の事業経営に参画し、お役に立てるかが一番のポイントだと考えております。マエサワ税理士法人は顧問先様の皆様と共に成長してまいりますので、今後ともどうぞ宜しくお願い致します。