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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」
[第177号] 銭を守ることの重要性
2024年4月18日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の177】
『時代に合わせた儲け方・貯め方』
その時代や環境下に合わせて、儲け方も貯め方も常に見直し続けることが肝要である。
それは突飛なことをしようという話ではなく、昨日と同じ感覚で商売をし続けないということだ。
経営においても周りに目を向け変化を厭わず、時代に取り残されひいては排除されてしまうことのないように心掛けたい。
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ある顧問先社長との話です。「上場会社もそうだし、社歴の長い会社もそうだけど、そういった会社は本業が多少崩れかけても、結局不動産でなんとかなるよね。」ということを仰っていました。この社長に限らずこういった内容のお話をされる社長は結構いらっしゃいます。実際にそういった部分はあると感じます。
メールマガジンを通じて社長の皆様に何度となくお話させて頂いていることがございます。それは、まずは稼ぐこと、次に貯めること、そして貯めた銭を次世代に引き継ぐこと、こそが重要だということです。
稼ぐこと、貯めること、どちらも逆風の時代に
最近、本業で稼ぐことが本当に大変な時代になったと感じます。それでもマエサワ税理士法人の顧問先様の7割は黒字経営をされています。この稼がれている社長の経営を拝見すると儲けに対する執着心の強さを感じずにはいられません。そして商売に対する真面目さも半端ないものを感じます。
まずは本業で稼ぎ続けること、これは経営にとって最重要事項です。稼げないということは顧客への役立ちが低下しているということです。なんとしても顧客への役立ちを考えて、待ったなしで役立つ商品・サービスづくりをやっていくしかありません。
ただ本業で稼ぐだけでいいのか、となると今後は今まで以上に銭を貯めること、守ることにも強い意識を持っていくことが重要になってきます。コロナ禍以前のドル円相場は100円から110円でしたが、今では150円を超えてきています。日本円はドルベース換算で7掛けの価値になってしまっています。
つまりせっかく稼いだ銭を貯金していても価値が落ちてしまうリスクが高いわけです。いかにして稼いだ銭の価値を維持できるかが今後は非常に重要になってきます。もちろん今までも重要だったのは間違いないのですが、今後稼ぐのがより厳しくなることで、その価値を守ることがより重要になってくると思います。
以前、このメールマガジンでも外貨預金や金や不動産などへの投資も選択肢の一つだと申し上げたことがありました。これはキャピタルゲインを得ることを主目的としてお話しした訳ではありません。もはや日本円でのみ財産を持っていることがリスクであり、リスクを分散するために外貨預金や金や不動産へ形を変えることも検討に値するのではないでしょうか、というご提案でした。
銭の価値を守るには
今の円安ドル高を喜んでいる経営者は日本にはほとんどいません。30年前の日本では円安ドル高を喜んでいた日本でした。当時の日本の経済力は世界一、二を争っていました。まだまだグローバル企業が少なく、輸出が主で経済力もあったので日本円に力がありました。だからドルでの価値など気にする必要もありませんでした。
ところが現在では国別GDPではドイツに抜かれ4位に転落しました。そして一人当たりの労働生産性(就業者一人当たり付加価値)もOECD加盟38か国中31位に落ち込んでいます(日本生産性本部 2022年)。もちろんG7の中で最下位です。
これが今の日本の立ち位置ですが、こんな経済状況でもマエサワ税理士法人の顧問先様である多くの社長は黒字を出し続けています。この厳しい状況にもかかわらず稼ぎ出した銭だからこそこの銭の価値を守っていかなくてはならないのです。
日本は様々なものを輸入に頼っている以上、為替相場の影響を受けずにはいられません。今後円安ドル高が進んだ場合にはさらなる物価高騰につながっていくでしょう。政府はインフレ主導していますし、それに伴い企業に給料のベースアップを求め、個人所得を増やそうとしています。こうするしかないとは思いつつ、全ての企業がこの流れについていけるかといえば非常に困難だといえます。
「これからは二極化が進む」という話は、これまでに何度も耳にしてきました。しかし私は、確実に「これからも二極化は進む」と考えております。これからの二極化の負け組はおそらく市場退出を余儀なくされるでしょう。コロナ禍前に270万社の企業が今後20年内外のうちに後継者不足で半減するという記事を紹介したことがあります。これがコロナ禍により早まったように感じます。
そういった中で稼ぎだした銭ですから、この銭の価値を守るためのリスク分散は必須になるのだろうと思います。そしてなんとか銭を貯めること、守ることができれば、その先に引き継ぐという承継業務が始まります。
資産家の人を見ると強く感じることがあります。いかにより多くの稼ぎを作っていくか、そしてその稼ぎをいかに守るか、そしてそれを次世代に託していくか、これを誰よりも考えておられます。だからこそ資産家の家系の方々は世の中の流れを常に感じ、それにどう対応していくか考え、そして実行していく。そんな風になれる人はほとんどいないのが現実ですが、事業に成功されている社長はその気になればそれができるポジションにいらっしゃいます。
もちろん投資自体はしっかりした知識なくしてできませんし、リスクを伴うことが多いのも事実です。マエサワ税理士法人では本業の儲けのお役立ちについては今までと変わらずご提案させて頂きつつ、資産の防衛についても今まで以上に考えていかなければならない時代になったことを経営者の方々と共有していきたいと考えております。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。