マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

厳しい時代に生き残るために

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第179号] 厳しい時代に生き残るために

2024年5月15日 配信
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の179】

『前進あるのみ』

経営者の人生は逆向きのエスカレーターに乗っているようなものだ。
止まっていれば置いていかれ、ただ頑張っているだけでは前に進めず。
商品・サービスの開発も付加価値の改良も誰しも考えようとはしているだろう。
ただ手をこまねいていれば運良く救われるという時代はとっくに終わっている。
一歩二歩周りよりも抜きんでて熱を込め、試行錯誤を繰り返し、逆風に負けない経営者であって頂きたい。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
確定申告が終わりGWで少しゆったりした気分になったのも束の間、GW明けから3月決算法人の決算申告に邁進しております。3月決算の法人数は各月決算法人の中で最も多くなっております。

儲けづらい国で儲けていかなくてはならない現状

ニュースを何気なく見ていると日本のGDPの話が出ていました。それによれば2024年に日本はドイツに抜かれて世界第4位に転落することになりましたが、続く2025年にはインドに抜かれ世界第5位に転落する見通しだということでした。ちなみに一人当たり生産性も第34位でG7中最下位とのことです。

別のニュースでは日本が生き残るためには①いかに高付加価値の商品を創り出すか、あるいは②高度経済成長時のように工業化を押し進めるか、しかなくその選択は日本人自身に委ねられている、とコメンテーターが言っていました。

といってもこれからますます少子高齢化が進んでいく日本において再度、工業国を目指していくのはなかなか厳しいように思えます。したがって①と②のいずれかを選択するのであれば、高付加価値の商品を創り出すことが目指していく方向性になるのではないでしょうか。

オンリーワンの商品は誰にでも創れるものではありませんが、自社が生き残るためには得意先に手に取って頂ける商品・サービスを創るしかありません。ただそれを実行することが極めて難しい時代になってしまったわけですから、どの会社も生き残ること自体が難しい時代になったということは確実に言えます。

上述のコメンテーターはさらに、「日本がジャパンアズナンバーワンと言われた後も当時売れていた商品に固執してしまい、新たな付加価値を創出する商品やサービスといった部分への投資を怠っていたことが今の日本の状況を招いてしまった」とも言っておりました。

今になって昔を振り返れば、どのようなことも言えるように思えます。それでも日本全体の実質賃金がこの30年間ずっと横ばいだったことからも、この間の日本経済が停滞していたのは事実わかります。当時の大企業の人材に対する考え方や投資の方向性として、内部留保を増やす選択が経済的に正しかったのかといえば、違った方針を選択していれば、世界に対して大きく後れを取った今よりはマシな状況にあったのかもしれません。

儲けを伸ばす、生み出すための事業への投資とは

マエサワ税理士法人の顧問先様でもコロナ禍を乗り越えて黒字を拡大されている法人が増加しております。そういった顧問先社長の事業経営を見ていると基本的には拡大戦略をとっていらっしゃいます。
たとえば得意先を日本国内にとどまらず国外に目を向け輸出を新たに始められた会社があります。また、食品加工業において拡大してきた部門でのさらなる生産能力拡大のために工場増設を計画している会社もあります。食品卸の会社でもやはり業界のトップグループに居続けるために、工場用地を獲得し新工場建設を企図されている会社もあります。まさに付加価値をつけるための積極投資です。

現預金をある程度持っておくことは事業経営をしていく上で不測の事態に対応するためには必要なことです。一方で資金を持っていてもただ持っているだけではお金を増やすことはできません。いかに成長事業に投資をしていくかが重要になってきます。そのために工場増設や工場の新設を行う決断をされたわけです。

工場の増設や新設となると1億や2億ではすみません。それでも社長は将来のための投資ということで実行に移そうとされています。もちろん勝算はあるものの「絶対」に大丈夫ということはありません。それでも社長や幹部の皆様からは「絶対」に成功させるという意気込みを強く感じられます。

とはいえ「絶対」はない以上、投資した結果がうまくいくこともそうならないこともございます。社員の皆様からすると、今うまくいっているのになぜそんな危険な賭けに出るのかという考えに支配されがちです。社長は将来を考え今が勝負をかけるときだと思っても、社員は現在の安泰を重要視しチャレンジしない、あるいはできない、ということはままあります。

ただ本当に10年後、20年後の会社の将来を考えることができるのは社長自身だけです。最後は経営者としての社長判断が全てとなります。うまくいけば社員の皆様からの賞賛を受けることになるでしょうし、うまくいかなければ社員の皆様からの信頼が瓦解することになるかもしれません。

こう考えると経営者という商売は本当に孤独だと感じます。全ての重要決断を社長自ら下し、その結果責任も自らが全て負うことになるのです。今まで成功されてきた経営者はこういった修羅場をいくつも超えられてきており、だからこそ決断された後の行動には迷いもぶれもないのでしょう。覚悟が表れています。

事業経営ではいくつもの壁が立ちはだかり、その都度経営者は選択という決断を迫られます。我々も少なくとも他人事ではなく自分事として社長の皆様に寄り添う形で毎月の月次監査に挑んでまいります。どうぞ宜しくお願い致します。