マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

経営者がなすべきこと②

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第182号] 経営者がなすべきこと②

2024年6月26日 配信
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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の182】

『資本主義における企業経営の王道』

稼げる経営者に、儲け続けられる企業になることが資本主義における経営者の使命である。
(1)自社が扱う商品・サービスは、”金を払う側にとって”良い商品・サービスなのか?
(2)その商品・サービスをこちらが希望する価格・利益率で買ってくれる顧客なのか?
(3)上記をよく理解し、意識・行動に移してくれる社員と共に儲けること
常にこの原点に立ち返り、顧客に、そして社会の役に立ち儲けられる企業を目指して頂きたい。

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あなたの”頑張ってる”は稼げているのか?

新幹線の車内誌にこんな記事がありました。
『「頑張っているのに成果が出ない」という愚痴を耳にすることがあります。例えば、毎日のようにサービス残業を続けて、必死の思いで製品・サービスや生産性の改善を成し遂げたのに、肝心の製品・サービスが時代遅れで顧客から全く評価されないという状況はその代表でしょう。』

これはプロダクトアウトの発想と言えます。「我々は持っている限りの知識と技術を詰め込んで今までにない性能を持った製品・サービスを創った」といったところで、顧客が望んでいる製品・サービスでなければ残念ながら思ったようには売れないでしょう。やはりマーケットインの発想、つまり顧客が何を欲しているのか、ということから考えをスタートしなければ、いくら必死の努力をしても徒労に終わる可能性が高い、と言わざるを得ません。

高度経済成長期であれば、純粋に欧米の製品・サービスより品質が良く、安価であれば、その製品・サービスは売れました。そういった製品・サービスは顧客ニーズとも合致していたからです。大量生産大量消費の時代のやり方です。もちろんそれとて簡単にできることではないことは、今では考えられないくらいの働き方を日本人がしてきたからこそであり、その時代のやり方を否定するものではありません。

その結果、日本はジャパンアズナンバー1と言われるようになり、今度は世界各国から追いかけられる立場に変わりました。ところが折しも日本はバブル崩壊に見舞われ日本は「失われた30年」に突入してしまいます。多くの日本企業はこの間、設備投資を控え、人材育成より非正規雇用を増加させ人件費を抑え、内部留保に努めた結果、上場会社では内部留保は増えましたが、日本における世界的企業はほぼなくなりました。今では世界トップ50に入る企業はトヨタ自動車しかない状況まで落ち込みました。本来はここで新たな成長のためのものと人への投資が必要だったのでしょう。

前を追いかけるというのは目標が定まっているので、自分が先頭にいてその地位を守るよりははるかに楽と言えます。トップになるところまではできても(トップになること自体も大変なことです)その地位を守り続けるのは実に大変という話は枚挙に暇がありません。

自分たちでこれからの顧客ニーズが何なのかを考えなければなりません。やみくもに努力、努力、生産性、生産性といっても顧客ニーズからずれた製品・サービスが売れることはありません。

金を払う相手が望むことが何かを常に考えること

また同じ雑誌の別の記事にこんなことも書かれておりました。ユニクロのヒートテックやブラトップなどのヒット商品について、『「ヒートテックはスポーツメーカーのもの」「ブラトップは下着メーカーのもの」という常識に囚われていたら、同社の今日はなかっただろう』と。

『同業他社はユニクロの成功を見て小手先の差別化をして追随したが、それほどの成果は得られなかった。業界内を見渡して「差別化」と言っている限りはライバルに勝てない。注目すべきは業界外にある』。

これは本当にそうだと感じます。私共の税理士業界でも「これからは富裕層にターゲットを絞り相続税に注力していく」とか「企業再編や企業再生に注力していく」とか「システムのクラウド化を図り、価格競争に挑んでいく」とか様々ございます。

しかしそれらは目的ではなくあくまで稼ぐための手段です。やはり顧客の役に立つことなしにこれらの施策を実行したところでなかなか結果はついてこないように感じます。まずは顧客に対しての役立ちを考えることが基本です。

税理士業界であれば、顧客の儲けにどれだけ関与できるかが重要なポイントだと思います。ともすると税務会計が最重要と考える税理士も多くいるように感じます。もちろん考え方は様々ですからそういった考え自体を批判しても仕方ありません。

ただ真に顧客から頼りにされる税理士がどんな税理士か考えていくと、税務会計だけをきっちりやっている税理士より顧客、つまり社長のされている経営について一緒に考えることのできる税理士の方がよほど有用性が高いのではないでしょうか。

トップ企業の背中を追っていけば自然と顧客ニーズをつかまえられていた昭和の高度経済成長の時代は終わりを告げました。今は令和という低成長の時代です。顧客ニーズを的確に掴み、それに即した製品・サービスを自身で構築しなければなりません。皆が試行錯誤の時代です。ゴールは見えない、ゴールは自分で創るということです。

いつも申し上げる通り、言うは易し行うは難しですが、これからの企業の生き残りをかけた戦いを勝ち抜くには目先の売上、利益をどうするかということと同じかそれ以上に将来の売上、利益をどうするかを考える必要があります。そのために「そもそもなぜ当社が存在しているのか」から考えていかなければ真に顧客ニーズを掴むことには行きつかないように思います。

1.いい商品ですか
2.いい顧客ですか
3.(1.と2.を理解している)いい社員ですか
 の検証をたゆまず行っている経営者だけが生き残れる時代になったように感じます。