マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

変わることへのあくなきチャレンジ 

■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第183号] 
2024年7月10日 配信
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の183】

『変化に挑む 』

「売上を上げる。粗利率を上げる。そんなことは分かってますよ!でも出来ないんだからしょうがないんです。」
半ば投げやりに口から出た言葉はきっと本心だろう。だが厳しいことを言えば経営者が口に出してはならない一言だ。
儲けるために、生き残るために全てを変える。そんな気概をもって一歩を踏み出して頂きたいと感じた一幕である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

変わり続ける外部環境

コロナ禍による顧問先様への影響には、様々なものがございました。
悪影響を受けることなく順調に推移した顧問先様もございますが、やはり大半の顧問先様において、苦戦を強いられることとなりました。巣ごもり需要を追い風に業績をあげた時期があったものの、一段落すると業績が低迷することとなった顧問先様。全く動くことができず、雇用を維持することで精一杯だった顧問先様。
しかし最近顧問先様を訪問していて感じるのは、コロナ禍を経て業績を伸ばしている顧問先が続々と増えている、ということです。コロナ禍は過去のものになりつつあります。新たな時代に突入した、といえそうです。世界中で改めて資本主義の競争が始まりました。現実にはあらゆるところで日本経済が世界経済から置いていかれる場面が多く見られます。

円安ドル高の進行、物価高、インフレ進行などが日本で騒がれています。円安ドル高の主要因は日米金利差によるものだと説明されていますが、それだけではないと思います。明らかに日本の経済力が世界に及ばなくなっていることが主要因のように感じます。

昭和の後期にも円安ドル高の時がありました。あの頃、私は小学生であったもののニュースを見ていて円安ドル高になると輸出が増加すれば日本はより金持ちになる、円安ドル高は日本にとってよいことだという感覚を持っていました。

ところが今の円安ドル高にはそんな感覚は一切ありません。日本円を持っていると貨幣価値が減っていく一方だという感覚しかありません。今のニュースでは「今しばらくはこの円安ドル高基調が続く」などと言われていますが、今しばらくというレベルではなく、おそらく長い目で見れば数十年という単位で円安ドル高基調なのではないかと感じます。日本経済が奇跡的に立ち直るようなことがあれば別なのですが。

儲けるために変わらず意識して頂きたいこと

これまでも、儲ける企業であるための不可欠な要素として、

① 良い商品ですか(お客様にとって価値ある商品)
② 良いお客様ですか(こちらの思っている価格で買って頂けるお客様)
③ 良い商品と良いお客様をよく理解している社員ですか
という3点を挙げさせていただいてきました。業績が良くなっている顧問先様はこれらをまさに実践されているというのが素直な感想です。ただ実践するのは簡単なことではないですし時間も非常にかかります。そんなに簡単に売れる商品を創ることなどできませんし、自分の思った価格で買って頂けるお客様もそうそう創れません。ましてや売れる商品、自分の思った価格で買って頂けるお客様をよく理解している社員を創るためにはよほどの教育が必要になります。

マエサワ税理士法人では毎週月曜に会長の前沢を中心とした研修を行っております。内容は税務会計とは全く関係のないこと、つまり社長がされている経営実学についてです。経営実学について書かれている本(一倉定先生、稲盛和夫先生他)について内容を深堀して読んだり、実際に顧問先様で業績報告する際に使用している資料を基に社長が経営者としてどんなことを考えているか、どんな悩みを持っているかを職員一人一人が考え、社長のパートナーとなるべき我々としてはこう考えるべきだ、ということを体認体得するということを目的とした研修です。

社員教育は非常に大変だと感じますし、時間もかかりますが、とはいえこういったことに時間をかけなければ、社長が何を考え、何を社員に求めているのか、会社がどの方向をめざしているのか、社員と共有することが困難です。社員教育は社員にとっても間違いなく成長につながります。人の成長なくして会社の成長はないということは多くの顧問先様を見て強く感じることです。

具体的に、ある顧問先様が実施されている施策の一部をご紹介いたします。
① 商品の中で販売数量と粗利益率を洗い出し、粗利益率が低いものを炙り出し、販売数量を見ながら終売していく
② 終売が難しい場合は外注に出し、自社製造を止める
③ 社員に社内の様々な業務を経験してもらうことで多能工化する。これを実践することで業務の効率化を図れるとともに社内のセクショナリズム解消にも役立つ(製造と営業と商品開発の一体化を図る)

①や②は「良い商品」についての施策といえるでしょう。③は「社員」に関連する施策です。なかなか思うように人を採用できない現状では、今一緒にやっている社員とやっていくしかありません。採用できないなら社員に能力アップを求めていくしかないのです。「これしかやらない、できない」という考え方ではなく、一人で何役もこなせる社員に変わって頂ける考え方も必要になるように感じます。

職人気質であることは悪いことは商品の品質を守るという意味で重要なことではありますが、仮にそれだけでは十分な稼ぎになっていなければ社員にそのことを理解してもらい、今までのやり方を変えねばなりません。コロナ禍を経て一番変わらなければならないのは我々の考え方だと思います。人間は一般的には変わることが苦手です。私もそうです。が、企業存続、社員を守るためにはその「変わること」を一番求められているのが今ではないでしょうか。

そういう意味では社長がそれを一番に認識し、社員と共有していくことで変わるしかないと思いますが、一方でそれが故の軋轢は生まれるでしょう。それでもわかって頂けると社員と乗り越えていくしかないものだと思います。

マエサワ税理士法人もこういった考えの下、社長の皆様をお話させて頂けるようにやってまいりますので今後ともどうぞ宜しくお願い致します。