マエサワ税理士法人公式メールマガジン前沢寿博の「企業経営の王道」

事業承継とは

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マエサワ税理士法人
前沢寿博の「企業経営の王道」

[第22号] 事業承継とは

2018年05月09日 配信
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こんにちは、マエサワ税理士法人専務理事の前沢寿博です。

このたび、平成30年5月1日をもちまして弊社理事長の前沢 永壽が会長に就任し、私、前沢 寿博が理事長に就任いたしました。
本来であれば顧問先社長様に直接お会いしてご報告申し上げるところでございますが、ひとまずメールマガジンにてお知らせさせて頂く次第でございます。
これまで同様にマエサワ税理士法人をご愛顧頂ければ幸いでございます。また私はまだまだ若輩者でございます。
顧問先社長の皆様には今後ともご指導ご鞭撻を賜れれば有り難く存じます。

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【マエサワ税理士法人 経営の哲学 其の22】
『事業承継とは』
初代から二代目へ、またその次代へ…
歩んできた人生が異なる者への承継は当然に艱難辛苦を伴うものだ。
その時代ごとにやり方の模索がされようとも、先代が築き引き継がれた経営理念は、変わらず企業の礎とすることが事業承継成功の第一歩である。

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当マエサワ税理士法人においても、まさに事業承継が決行されました。しかしあくまで役職上の話です。
これで事業承継が完了したかといえば……当然ながらこれからが勝負です。
顧問先様のところでこういった承継のタイミングを何度となく拝見しておりましたが、私自身がそういった立場となりました。

何度かこのメールマガジン上でも書かせて頂きましたが、事業承継には、やるべき承継がふたつあります。
ひとつは会社の「株式」の承継。
もうひとつは会社の「事業」の承継です。
今回は会社の事業の承継について書いてまいります。

世界における日本の事業承継

事業を承継するということは、少なくとも先代が10年、20年やってきた事業を引き継ぐことになります。
もちろん先祖代々継いできた事業となれば50年、100年という歴史のある会社もたくさんあります。

インターネットで全世界の老舗企業ランキング(2008年韓国銀行調べ)を見てみると、なんと上位10社のうち1位から6位と9位が日本の企業でした。
1位は金剛組という大阪府にある会社で、創業は578年だそうです。今2018年ですから実に創業以来1440年経過しているということですね。
そして全世界で200年以上の歴史のある企業5586社中、3146社が日本にあるそうです。また別の調査によれば、100年以上の歴史のある企業は日本だけで21000社あるそうです。

変えるべきこと、変えるべきでないこと

こういった歴史のある会社といえども、創業当初から変わっていない・変わってはならない部分と、大きく変わっている・変わらなくてはならない部分があるのだと思います。
まだまだ少ない私の経験の中でも、あるいは自分の事務所を見ている中でも、変わってはならない部分というのは『経営に対する考え方』なのだろうと考えております。

マエサワ税理士法人でいうならば、『入口出口は税務会計としながらも、お客様の役に立つ提案をしていくこと、儲けの役に立つ提案をしていくこと』になります。
いつの時代であっても、「お客様の役に立つ」ことをしていくというのはどの会社でも変わらないし、変わってはならないことなのだろうと思います。

逆に変わっていかなくてはならない部分もあります。世の中が流れていく中で、経済環境も変わり、人々の嗜好も変わり、ますます便利になっていきます。その時々の時代に合った「お客様に役立つ」ことをしていかないとなりません。
そういう意味ではそれぞれが培ってきた技術や信頼を大事にしつつ、それを活かして、お客様に求められているモノやサービスを提供していかなくてはならないのだろうと感じます。

変えるべきでないことは変えず、変えるべきことは変える。先代から新社長が引き継ぐことが難しいのは、こういったところなのかもしれません。

生い立ちの違う二人(前沢家の場合)

ただ事業の承継が難しいのは親子として血がつながっていようとも先代と次代では違う人間だという点にあります。それはこれまで生きてきた人生そのものの道のりの違いともいえると思います。

実例として私の父と私のこれまでの道のりを少しだけお話させて頂きます。

私の父である、現会長前沢永壽は栃木県の農家生まれです。幼少時は非常に貧しい生活だったようです。
農業高校を卒業したものの残念ながら農家の将来が暗い、つまり生産性があがらないことを悟り、東京に出てきました。もちろんお金はなかったので、勉強しながらお金も頂ける税務大学校へ進学します。
その後、税務署勤務をしますが、経営者側に立った仕事をしたいと思うに至り、税理士事務所に勤務しながら税理士試験にチャレンジします。なんとか5科目を取り、税理士となります。
ここから順風満帆と言いたいところですが多くの経営者同様、お金の苦労もしたようですし、体も壊し長期療養を余儀なくされたこともありました。

一方の私は東京都の両国生まれ。公立小学校から大学の附属中学に入学。そのまま大学まで卒業をしました。それまで自分の家が特別、お金がある家庭ともそうでないとも思っていませんでした。
大学で商学部に入学したのも、自分では意識していませんでしたが、父が税理士であることが影響を与えていたのかもしれません。
卒業後は税理士ではなく、公認会計士の資格を取って、その後に税理士資格を取りました。
なぜ公認会計士の資格の勉強を志したかといえば、これは父の持つ税理士より単純に公認会計士の方が難しい、とその時思っていたからです。
そういう意味では父の上を行きたい、という気持ちは持っていたのだと思います。今にして思えば、公認会計士と税理士とではそもそも仕事内容が全く違いますし、どちらが資格としてすごいとかそういうものはないのですが。
いずれにしてもなんとか公認会計士に合格してその後、監査法人へ入所。その後、平成19年1月5日にマエサワ税理士法人へ入所しました。

血がつながっている親子とはいえ、生い立ちが全く異なるのです。それぞれの生い立ちからでてくる人間性は全く異なります。
それは少なからず、会社経営にも影響を与えるはずです。だから先代と同じ経営スタイルを実践しようにも全く同じようにいかないに決まっているのです。

経営理念の継続が承継の核となる

それでもです。やはり変えてならないものは変えてはならないのだと思います。その中でも大きなものは『経営に対する考えた方』の様な気がします。

以下、マエサワ税理士法人でこれまでやってきたことですが、

  1. 毎週月曜午前中に全職員出席で行われる研修(中小企業経営についての研修)
  2. 年に1回開催される座禅研修(千葉県のお寺で事務所の長期計画を発表します)
  3. 毎週職員が輪番制で考えている一週二点(その一週間の目標を2つ発表します)
  4. 事務所内では鍵をかけない(余計なものを置いておかない)
  5. 職員全員の顔が見れるように衝立をたてない(全員のデスクはフラットな状態)。
  6. 数年間で顧問先様の担当者を交代

などが挙げられます。これらは当法人の経営に対する考え方の実践の一例と言えます。

こういうところは私が変えてはならないところだと思っております。
年に1回の座禅研修についてはよく顧問先の社長様に「辛いだけで何か仕事に役立つの?」といったことも聞かれたりしました。

研修内容は普通の税務等の研修とは異なり、経営者はどう考えているのかといったことが主題となっており、時間的にも内容的にも厳しいものだと思います。ご参加頂いていた社長様はよくご存じのことと思います。

毎週の研修も、「我々は経営者にどう対峙すべきか」といったことを主題としてやっており、会長の前沢も非常に厳しい口調で話をしますので、正直職員にはきつい時間だと思います。
しかし手を変え品を変え、とにかく職員には「顧問先様の儲けの役に立つことこそが最大の我々の仕事である」ということを話し続け、顧問先様へ伺った際に活かせるように研修をしております。

上記の①から⑥は全て会長の前沢が事務所創業当時から行ってきていることです。
「40年続いている」という事実自体が既にマエサワ税理士法人の歴史となっており、今、顧問先様に与えているマエサワ税理士法人のイメージにつながっているのだと思います。
ですから私も①から⑥のような、具体的に実践してきたことは引き継いでいかなければと思います。
変わってはならないところというのは先代が築いてきた心の部分、経営理念的な部分なのだろうと思います。そしてやる以上は継続すること、これが事業承継していくのに一番重要なところではないでしょうか。

今回はマエサワ税理士法人の事業承継について書かせて頂きました。これまでとこれからのマエサワ税理士法人が大きく変わることはないと思います。
今まで同様、顧問先様の儲けにつながるご提案をし続けていく、これだけです。その手法はこれからも様々出てくると思いますが、目的は変わることはありません。
どうぞこれからもこれまで同様、マエサワ税理士法人を宜しくお願い致します。