創業時の資金調達の難しさ、儲けることの難しさを実感

開業6ヶ月前からの税務・会計入門

D先生は皮膚科のドクターです。もともと某大学病院の勤務医でしたが、独立開業するために退職、開業準備の最中にマエサワ税理士法人とのお付き合いが始まりました。

事業計画書策定のお手伝いが当初の業務となりました。聡明な先生ですから、創業理念や大きな事業における資金の流れについては、当初から理解されていたように思います。事業計画書策定には想像力が不可欠ですが、D先生はそれをお持ちでした。

経営に不可欠なヒト・モノ・カネのうち、ヒト(看護師の採用等)・モノ(設備投資やサービス等)については既にD先生が検討されていましたので、残りのカネ(利益・資金繰り面等)について、当法人の出番となりました。ひと月の間に何度もD先生にお会いし、膝を突き合わせて事業計画書として形に仕上げるお手伝いをしました。

またそのほかにも、損益計算書と貸借対照表の仕組み、日々の帳簿管理や源泉徴収の仕組みなど、「聞いたことはあるが、あいまいな理解」である事項の整理と理解を深め、これから起きることをより具体的にイメージするために有益と思われる情報を専門家としてアドバイスさせて頂きました。

金融機関からの借入についても、必要額や毎月の返済可能額など資金繰りの考え方の理解が必須です。D先生が納得した上で金融機関と交渉できる理論武装も打合せの中で身につけて頂けたように思います。

いよいよクリニック開業へ…

クリニックを開業すれば、患者さんがすぐに集まる…とはいかず、いろいろなご相談でお邪魔していても、最初の数ヶ月は本当に大丈夫か、と私自身が心配になるほどでした。

当法人でよく使う言葉に百人百様、千人千様という言葉がございます。
経営者は千差万別であり、我々は「税務・会計」という共通言語を厳格に踏まえつつ、プラスアルファの経営助言を行うことこそが使命と考えております。

一人一人の経営者にカスタマイズしたサービスの提供が当法人の強みです。この時期私がD先生に申し上げたことは、「丁寧な対応をし続けて先生のファンを地道に増やしていきましょう」ということでした。そして結果としての「利益を出し続けましょう」ということでした。

開業8ヶ月目を過ぎ、当初の計画書の目標としていた1日30人の患者数には到達しました。その後は順調に患者数が伸び、現在では1日100人を超える患者さんがD先生のもとを訪れていらっしゃいます。これもひとえにD先生の患者さんへ対する真摯な姿勢の賜物です。

儲けを出し続けて頂きたい

月次訪問の際、担当の私が申し上げているのは基本的に一つ、『儲けを出し続けて頂きたい』ということです。D先生は開業後ずっと黒字を出し続けております。しかし『利益を出し続けること=継続させること』は非常に困難なことです。

医業には他の事業にはない、特徴的な仕組みが多くあります。医療法人化・MS法人の設立などを視野に入れ、それを持続させるサポートを今後もさせて頂きます。